表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
272/290

第39-2話 新たな日常と その2

この日俺達はツィエンの丘へと向かっていた


ツィエンの丘はマーテンより北西にある荒れ地気味の荒涼とした小高い丘が幾つかある場所になる


「やあ!」

跳躍するガワンに対して俺がメイスを振り上げて対応する


メイスはガワンに命中し鈍い音と共に吹き飛ばす

地面に落ちたガワンは動かなくなった


後ろではルシュが投石でガワンを撃退していた


……


「こんな所かな」

俺の言葉にルシュは周囲を見渡し、頷く



俺達はこのツィエンの丘に生息するガワの亜種、ガワンの材料を求め訪れていた

ガワンは黒っぽい紫色の体毛であるガワとは違い、緑色である事と、高い跳躍力が特徴だ


しかしその危険性に関してはガワと大差なく、少々厄介と言う程度のもので

今のチェインメイルと革の小手等を身に着けている俺なら殆ど傷を負う事も無く

言うまでも無くルシュの敵ではない



しかし、この依頼はガワンの危険性から比較すると報酬は良い

だからこそ引き受けたのであり、報酬が良い理由もある


「ロドンが来る前に解体してしまおう」

俺の言葉にルシュが頷き、作業に取り掛かる



そう、このツィエンの丘にはロドンと言う強力な魔獣が住んでいる

ロドンはこの一帯から出ることはないので街からすると無害な為

討伐依頼が出ることはなく、素材は頑丈で使い道はあるものの需要が低く

その討伐難度の高さとの割に合わないと言う事で

マーテンの冒険者が訪れることは殆ど無い


以前俺が風邪で寝込んでいた時にルシュがチティルと一度訪れ、ロドンと戦い追い返したと言う話を聞いた

なのでルシュならば負けることはないと思うが、それでも俺が足を引っ張る事になるし

もしもと言う事もある、出会わないに越したことはない


……


「ヨウヘイ、来る」

ルシュが言った


俺はまだ何も感じていないが、ルシュが言うなら間違いない


ルシュは小高い丘の上を見ながら剣を手に取る


俺もメイスを呼び出す


そして


丘の向こう側から大きな六本足の芋虫の様な獣の様な怪物が現れた


「アレがロドンか…!」

マーテン近辺でも強力な魔獣の内の1体と言われるロドン

グライエムには及ばないだろうが、少なくとも俺が敵う相手じゃない事は分かる


ロドンはその六本の足を使い、崖を走り降り、俺達の傍まで走ってきた

その巨体通りの速度であっという間に俺達の近くに来た


話には聞いていたが目が無く大きな口を持つ不気味な化け物だ


「ルシュ、頼む」

「うん、任せて」


情けないが俺には何も出来ない、少し後ろに下がる


どこを見ているか分からないロドンにルシュは構える

そして


ロドンは俺達が倒したガワンの方向に走って行った


「なっ!?」

俺は呆気にとられた


ロドンは俺達など眼中になく(目がないが)ガワンの死骸に向かっていった


そして、その内の一体にかぶりつこうとする

それを見た瞬間ルシュが走り出した


「ちょっと!」

ルシュはあっという間にロドンの後ろにまで走り、そのまま両手で尻尾を掴んだ


「ぐおおぉ!」

驚いたようにロドンが鳴き声を上げる


「横取りはだめっ!」

そう言ってロドンを持ち上げ、地面に叩きつけた


轟音と砂埃が舞い、一帯が揺れる


「ル、ルシュ…!」

余りにも素早い対応


ロドンはガワンにありつく事無くルシュの迎撃を受けてしまった


……


数秒間ロドンは全く動かない


倒したのか?と俺が思った瞬間、ロドンはすくっと立ち上がり

そのまま凄い勢いでルシュから逃げていった


「まったく…」

両手を腰にあて、呆れた様子のルシュ


「流石のロドンもルシュには敵わないな…」

俺は呟いた


--------------------


俺達はマーテンへ戻り、素材の納品を済ませて

ロドンから剥がれ落ちた殻を素材屋に引き取ってもらった

素材屋はある程度の規模の街ならば入り口の近くに多く、

比較的高値で引き取ってくれやすい


ロドンの殻は報酬程ではないがそこそこの値段になり、俺達は多くの食材を手に家に帰るのだった


--------------------


家に戻る頃には既に日が暮れそうになっていた

扉を開け

「ただいま」

俺とルシュが同時に口を開く


そうするとすぐに奥からイルンが姿を見せる


「お帰りなさいませ、ヨウヘイさん、ルシュさん!」

少し慌ただしそうだ


その様子をすぐに察知したルシュが

「何かあったの?」

と尋ねた


そうすると

「お客様が…」

と言った


直後、奥の部屋からもう一人、人影が姿を現した


「久しぶり、お邪魔しているわ」

そう言ったのはロウザン将軍の孫である、アネイルだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ