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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第38-4話 赤髪褐色獣耳少女

俺の目の前で嬉しそうに喋るルシュ

そしてその後ろで鍋をかき回しながら恥ずかしそうな照れ笑いを見せる少女の姿


何となく何があったのか察する事は出来た


------------------------------

食卓のテーブルの上に並んだスープと焼き魚


「いただきます」

「いただきます」


俺とルシュは同時に口を開く


俺が言っていた言葉をルシュがそのまま真似をする様になったので、

今は二人で言う様になった


ただ外では不思議がられる事もあり、家の中だけだ


俺とルシュは広いテーブルで横に並び、向かいには少女が座る


スープに口をつける


…美味い

安い食材に大した調味料も無い家でこの味が出せるのか


いつも俺達が作ってるスープはもっと何と言うか…

素材の自然な旨味が生きている、というかそれしかない…というか

そういう感じなのだが


この少女の作ったスープは料理屋で食べるそれと遜色ない


「美味しい…」

感激した様子のルシュ


彼女はすぐに食事の虜になった



俺は向かいに座る赤髪の少女に目をやる


俺達の様子を伺う様に見ていて料理に手を付ける様子が無い


「えーと、イルンさん…だっけ」

俺の言葉に彼女は慌てた様子になる


「イ、イルンでいいです!

今日はありがとうございます!

こんな立派なお屋敷に…」

彼女は頭を何度も下げる


その度に彼女の獣耳が揺れる

初々しさを感じる仕草だ


「イルン、今日は料理作ってくれてありがとう。

君が作ってくれたんだから、一緒に食べよう」

俺の言葉に彼女はまた頭をさげ、そして食事に手をつけ始めた。


……


「イルンは住んでた村からマーテンに来たんだって」

ルシュが話す


「はい、私の村はガリュエヌ山に近いところにあって、最近ガリュエヌ城が解放されて

人が沢山集まってると聞いたので、何かお仕事が無いかと思って村を出たんです」

イルンが話す


「それがどうしてマーテンに…?」

俺の言葉にイルンは少し困った表情で話す


「ガリュエヌ山道は徒歩では険しいしもしも魔獣に出会うと危険だと聞いてたので、

馬車に乗りたかったんですけど、お金が無くて…」

イルンの説明によると、彼女の住んでいた村は所謂貨幣経済ではなく物々交換が主流で、

お金を殆ど持っていなかった様だ


その辺りはアステノに似てる環境に居た事になるな…


「私はキキーモラなので、家事のお手伝いで物や寝床を賄ってたんです。

マーテンならお仕事でガリュエヌへの馬車代も用意できるかなと思って…」


キキーモラ、聞きなれない種族名だ

いや、ゲームや漫画の知識としてはあるけれど、この世界では初耳だ

家事が得意と言うのも俺が元々持っていた知識と大体一致する



…いやしかし、ガリュエヌへ仕事に行くためにマーテンで仕事をする…



「それだとガリュエヌじゃなくてマーテンで仕事をしたら?」

ルシュが率直に話す


ハッとするイルン


少し絶句している彼女に俺は話す


「マーテンも仕事なら困らないくらいあるんじゃないかな、ガリュエヌが活気づいてるから、

どうしても行きたいって言うならそれまでの間うちに泊っても良いかと俺は思うけど」


俺の言葉にルシュは嬉しそうに頷く


「その…あんまり考えてませんでした、マーテンでお仕事出来るならそれで良いと思いました」

恥ずかしそうに話すイルン


少しの間の沈黙


そしてルシュが口を開いた

「ねえヨウヘイ、イルンをうちにずっと泊めてあげない?

料理上手だし、手伝ってもらおうよ」


「えっ、泊めるのは良いけど、料理は…」

俺の言葉にイルンが慌てて口を挟む


「あの、料理とか家事好きなので、全然大丈夫っですっ!

でも、こんな立派なお家にずっと泊めて頂くのは、払えるお金が…」

イルンが申し訳なさそうに話す



「いや、逆に家事してもらうならこっちが払わないといけないって俺は思ってるよ。

一応蓄えはあるけど、冒険者は安定しないからなぁ…」

冒険者は日雇い労働者みたいなものだ


ロウザン将軍の様な件は早々あるわけでもなく、イルンに給料を払うとしてもずっと…となると

どうなるか分からない


「イルンには家事をしてもらって、代わりにお家に泊まってもらったら…?」

ルシュはイルンと俺の折衷案とも言うべき提案をした


「俺としてはそれは凄く有難いけど、イルンはどう思ってる?」

俺の言葉に

「あの、本当にそれでいいんですか…!?」

目を丸くして聞いてくる


「良いよね?」

ルシュは俺に確認する

俺は頷く


「仕事はゆっくり探せばいいよ、マーテンにいる間はこの家で色々手伝ってくれたら俺達は歓迎だよ」

俺の言葉にイルンの目が潤む


「ありがとうございます!頑張ります!」

そう言って頭を下げる


獣耳が勢いよく揺れた

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