表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
258/290

第36-5話 領主の館にて

屋敷に入るとまずは広いエントランスホールがあった。

カーペットが引かれている。

ダンスホールとしても使われているのかも知れない。

奥と左右に通路が伸びどの方向へもかなりの距離が伸びていそうだった。

奥の通路の両脇には階段があり、吹き抜け状に3階まで伸びていた。


俺達を先導しているオークがこちらを向き、

「領主様はこちらになります」

そう言って俺達を奥へと案内していった


俺とルシュは少々あちこち見ながら、ロウザンは堂々と、アネイルは様子を伺う様に奥の部屋へと歩みを進めた


10名程の兵に囲まれた状態で俺達は進む

ロウザンがいるから、なのだが俺達もなんだか囲まれている様だ


通路の奥の広間に出る

高そうな調度品があちこちに置かれた空間だ

だが豪華絢爛と言う程でもなく地方領主の部屋と言われたら納得する様な部屋だ


俺達を先導してきたオークの男が横に避ける

兵たちは領主の脇と、俺達の横、そして斜め後ろに立った


そして、目の前には小柄な男が居た

「この度はよくぞロウザン将軍を打ち破ってくれた、礼を言うよ。

冒険者のヨウヘイ、ルシュ。

そしてよくおいで下さいました、ロウザン・レーゼンダル将軍、そしてアネイル・レーゼンダル殿」


「私はこのエルアーノ地方の一帯を管轄している、バリュー・アルマウダだ」

妖精族のレプラコーンの男だ、何とも気さくそうな表情をしている


エルアーノ地方、久々に耳にしたがマーテン、クィノーレン、リッシを含む一帯がこう呼ばれている

この辺りの都市を管轄しているという事だ

にしても領主は魔族だと思っていたが妖精族だとは…本当に種族の垣根を超えた状態になっているんだな…と思った



彼は俺達に目配せをして、

「一先ずは冒険者達に報酬の話をしたい、ロウザン殿、アネイル殿をお部屋にお連れしてくれ」

バリューの言葉に兵がハッと返事をして

「どうぞこちらへ」

と言い、二人を連れて出て行った


彼等が部屋からいなくなった後、バリューが椅子に座る

「ロウザン将軍を名乗る賊、と言う事ではあるが、既に王都含めロウザン将軍本人で間違いないという見解になっている。

だからこそ、本当によくやってくれた。」

と俺達に言った


「正直、勝つつもりではあったけど、勝てるとは思ってなかったと言うか…

でもこうなるとは…」

俺とルシュはまだこの状況に少々困惑している


その様子を見てバリューはくつくつと笑った

「ある程度はロウザン殿からも交渉していたのでね、もちろんロウザン将軍に勝つ者がいれば大人しく投降する、と言う事で。

最悪の場合軍が動き、正面衝突は無かっただろうけれど、混乱は起こっていただろう」

そして少し間を置き、立ち上がって俺達に近付いてくる


「君達がやってくれたお陰で私達の面子が守られた訳だ、感謝しているよ」

と言って笑った


意地でも自分の地方の冒険者に倒して欲しかった、と言う事か

これは他の地方の領主や国に対しての政治的な側面もありそうだな、と思った


「正直過ぎませんか…?」

俺はちょっと呆れた様に話す


その言葉にバリューはほっほっほと笑うだけだった


……


「とまあ、挨拶はこれくらいにしておこう。

本題は報酬、冒険者なら当然だろう」

とバリューが言う


実際俺達は報酬と言うよりも意地だったが、これを否定する意味も無いので黙って話を聞く


「まず国からの懸賞金、それはマーテンのギルドで受け取って欲しい。

既に手配済みになっている。

そして、私からも報酬を渡したい」

そうか、確かにロウザン将軍には懸賞金が掛かっていた、かなりの大金だ

俺達がロウザン将軍を倒すために使った資金など遥かに上回る額…


そして領主からの報酬とは

「悪い物じゃない、きっと喜んでもらえる筈だ。

詳細は数日後マーテンに使者を送るから、彼から受け取ってくれたまえ。

今は、大した事はできないがご馳走と良い寝床を用意しよう。

今日はゆっくり休んでくれたまえ。

マーテンには明日、送迎しよう」

と言った


「ありがとうございます。」

俺とルシュは声を揃える


その後、バリューが口を開く

「何でも、マーテンの近郊に現れたグライエムを倒したのも君達だそうだな。

素晴らしい冒険者が居てくれて私も嬉しい限りだよ」

そう言ってバリューは笑った


---------------------

「ロウザン殿はこちらへ、アネイル殿は隣の部屋に…」

領主の兵に連れられたロウザンとアネイルは客室に通されていた


「牢はあるだろう、俺はそこでも構わないが」

ロウザンの言葉に兵は狼狽える


「そういう訳には行きません、見張りは立てますがあなた様をぞんざいに扱うなどと畏れ多い」

兵の言葉にロウザンは苦笑する


「なんとも人が善い様だな、ならば言葉に甘えよう」

そう言って二人は客室に入る


……


暫くして

客室で椅子に腰かけていたロウザンは廊下での話し声が聞こえた

声をひそめているようだが分かる

一人はアネイルだろう


少ししてから扉が開く


「失礼します、おじい様」

ロウザンの目の前に、アネイルが現れた


「あなたと一度、お話がしたかったのです」

アネイルの言葉に、ロウザンは頷いた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ