第34-6話 ウアルの村の聖女
ロウザンの弱点であろう聖水を求めて、
俺とルシュは次の日早朝からウアルの村に向かって出発した
アリエラさんが今でもウアルの村に滞在しているかどうかの確証はなかったが、
ウアルの村の聖女が村から去ったという情報はルガンドでは得られなかったので、まだいるだろうとの事だった
当時はアリエラさんを連れての道中だったが、今回は二人で急ぎだ
そこまで険しい道中でも無いので急いで進む事が出来た
ルシュは途中で息を切らす事があったので、
その都度小休憩し、彼女には食事を摂ってもらう事でスタミナを回復させ先へ進む
これを何度か行った
ルシュに申し訳ないと思ったが、ルシュも覚悟の上、と言う事だった
その甲斐あってまだ日が傾くよりも早く、ウアルの村が見えてきた
村に近付くと、ルシュが口を開く
「前はあんな建物あったっけ?」
ルシュの言葉に、俺は目を凝らす
確かに以前ウアルの村に訪れた時には見た覚えのない少し大きな建物が村の中央にある
「取り敢えず村に入ってアリエラさんの場所を聞こう」
俺の言葉にルシュは頷いた
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村に入ってすぐ、草むしりをしているホブゴブリンのグラッシュの姿が目に入った
彼は俺達の姿に気付き、手を振りながらこちらに近付いてくきた
「アンタ方は、いつぞやの聖女様の時の、久しぶりだな」
グラッシュは朗らかに笑った
「久しぶり、元気そうでなによりだ」
俺達はグラッシュに挨拶をする
「聖女様のお陰だべな、オラたちはあれからずっと元気にやってるべよ」
アリエラさんはすっかり聖女様として定着してしまった様だ
「ところで、何か急いでる様子だけど、何かこの村に用があって来ただべか?」
基本的にルガンドとこの村の移動はほぼ一日掛かるので、この時間に到着した事そのものが急いでいるという認識になった様だ
後は俺達がそこそこ疲れた様子である事もあるか
「実は、そのアリエラさんに用事があるんだ、何処にいるか分かるかな?」
俺の質問にグラッシュは
「聖女様なら教会にいるべよ、ほら、あそこ」
そう言って村の中心にある少し大きな建物を指差した
「あの建物、教会だったのか…」
俺達は戸惑いつつも、グラッシュに礼を言ってから教会に向かった