第34-4話 亡国の蔵書 その2
俺とルシュが手分けをする事を決めた後に相談した結果
ルシュはルガンドの近郊、街が十分視認出来て尚且つ一目に付かない場所で、魔法の訓練をする
俺は図書館でルガンドの蔵書を調べる
この形で別行動する事になった
正直俺はルシュを一人にすることに不安があったが、
ルシュも同じく俺が一人であることを不安に感じていた様だ
俺は勝手にルシュの保護者の様な感覚である事もあるが
俺には何かトラブルに巻き込まれた時に打開できる力はないので、ルシュに心配されるのも当然と言えば当然だった
ルシュは頭は良いし基本的には冷静だ、余程の何かが無ければ大丈夫か
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次の日に早速俺は一人で図書館に向かった
受付のクラエが少し驚いた様子で
「今日はお一人ですか?」
と言った
「ええ、まああの子には用事が出来たので」
と言って俺はエドリガの蔵書の元へ向かった
クラエは何も言わなかったが少々不思議そうな様子で俺を見ていた
……
エドリガの蔵書自体は普通の蔵書よりもかなり少ないが、整理されていない為
歴史書、戦術所の類を探すのは思った以上に苦労した
片っ端から目を通し、それらしきタイトルの本を手に取る
何も書いていない本や傷みの激しい本もあるので、調べるのも一苦労だ
日が暮れるまで図書室に籠った後、宿に戻るとルシュが疲れた様子で戻って来る
魔法は簡単には身に付かない様だが、魔力を意図的に放出する、と言うデモンストレーションは出来ている様で、
いつも以上に夕食を沢山食べていた
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5日後…
その時は訪れた
「デュコウのロウザン・レーゼンダル将軍を打ち破った勇者達…!」
歴史書ではなく、それは伝記の様な物だった
宿敵を打ち破った勇者を讃える様な内容で書かれていた
「ロウザンの力は強大だった、ロウザンを守る精鋭達が全員倒れた後も独りでロウザンはその剣を振るい続け、
エドリガの兵達も多くが倒れた。
エドリガの誇る精強な兵、強力な魔道具の力を以てしてもロウザンを倒す事は困難を極めた…。
だが、そのロウザンは倒れた。打ち破ったのはエドリガの誇る4人の勇者だった」
「勇者達は水と癒しの神、アスファの祝福を受け、ロウザンに戦いを挑んだ。
その死闘は昼夜続いた」
…流石に盛ってる気がするが、伝記だしな…
「だがその永遠に続くと思われた戦いに終止符を打つきっかけとなったのは、アスファの祝福を受けた聖水だった。
聖水によって力を失ったロウザンは尚の事戦い続けたが、遂には力尽きたのだ」
聖水…!?
聖水ってウアルの村でアリエラさんがアンデッドの発生源を浄化する時に使ったアレの事か?
アンデッドに効く聖水だが、ウアルの村の様子を見ると魔族には何とも無さそうだった、効くのか…?
すぐにでも図書館を飛び出してルシュの元へ向かいたい…!
情報の元が伝記だからそれが本当の事かは分からない、裏を取る必要がある
兎に角これを裏付けそうな書物を探さないと…
……
それから数時間で見つかった、今度は歴史書だった
エドリガの戦士、ギイル、レイアン、ヴィクス、アンがロウザンを打ち破る
聖水の力によってロウザンを弱らせることが出来た
力を失い、倒れたロウザンは封印される事になった
と記述されていた
「聖水がロウザンの弱点…!」
一筋の光明が見えた