第34-2話 新たな手掛かりを求めて その2
図書館に入ると、独特な匂いに包まれる
古さもありながら厳粛な空気すら感じるこの空間を俺は既に気に入っていた
受付を見ると、ドライアドのメニルが一人で立っていた
相変わらず眠そうにしている
ドライアドは以前俺達が出会った木霊であるトレントと同じく木の精霊との事だが
精霊も眠たかったりするのだろうか
「おはよう…今日も二人で利用ね…」
メニルが挨拶してくる
「おはようございます」
「おはよう」
おれとルシュは挨拶をして料金を支払う
「どうぞ~」
メニルが眠そうな声で許可してくれる
適当な感じがするが、まあ仕事はこなしてるので問題ないか…
……
そうだ、今日は聞きたい事があるんだった
「あの、エドリガの本ってこの図書館にありますか?」
俺の言葉から数秒間メニルが固まる
何かを考えているのか、いや、表情は眠そうなまま微動だにしていない
「あ~、思い出しました」
そう言って、俺達の前に小さな芽が出てきてすぐに開き
小さな木の少女が現れた
「案内するので…ついてきて…」
メニルがそう言うと、木の少女、小さなメニルがゆっくりと図書館の奥へ進みだした
ゆっくり歩く小さなメニルに俺達は着いて行った
……
図書館の地下1階、外の光が差し込まない荘厳な空気を持つ図書館の中でも特に
特殊な空気を感じる一角に扉はあった
小さなメニルは扉の前で立ち止まり、扉の隣の壁を指差す
そこには古びた紙が貼ってあった
「『エドリガ蔵書』絶対に持ち出さない事…」
俺はそれを読みあげる
その言葉を聞いた小さなメニルが腕を文字通り伸ばし扉をゆっくりと開く
奥からは黴臭さとともになんだか澱んだ空気が流れてきたような気がした
ルシュが一瞬顔をしかめる
俺達の様子を見た小さなメニルは小さくお辞儀をして、小さな光の粒子になって消えていった
本体?であるメニルの元に戻ったのだろう
「よし、行くか」
俺の言葉にルシュは無言で頷く
エドリガの蔵書は確かにあった、目的の情報があるかも知れない
俺は少し高揚した気持ちと不安を覚えながら部屋の中に入っていった