第33-10話 実力者 その4
アバリオが出て行ったあと、俺とルシュは暫く黙り込んだまま座っていた
……
いつまでもこうしていても仕方ない
俺達は宿に戻る事にした
帰りに店主に料金を支払おうとすると
「もうヤツが支払ってるから必要無いぞ」
と言われた
「え、それでも」
俺は少し戸惑うが
「なら、次飲みにでもきてくんな」
と言われたので、俺達は承諾し、宿に戻った
……
宿に戻った俺達は、ベッドに腰掛け、これからどうするかを話し合う事にした
「アバリオ…さんが最後に言った言葉、どういう意味だったんだろう」
俺はルシュに問いかける
妙にぼかしたような、遠回しな言い回しに感じた
ストレートに言うのではなく、ヒントとして言ってくれたのだろうか
『この都市の図書館にある書物は、デュコウのものだけではありません。』
確かに図書館は各国から集めた物がある、最初に図書館を訪れた際にその話は聞いていた
「私もアバリオの最後の言葉の意味をずっと考えてた」
ルシュが返事をする
少しの間の沈黙
「アバリオの言った『デュコウのものだけではない』って、もしかしてもう無い国、エドリガの本もあるのかなって」
「!」
なるほど、そう言う事か
確かにそれなら合点がいく、でもそうなるとアバリオはそこまで分かっていながら答えにたどり着けなかった事が気になる
「今日はもう日が暮れるし、明日、図書館に行って確認してみようか」
俺の言葉にルシュは頷く
明日に備え、今日は少し早めの就寝となりそうだ