第33-4話 調べもの その2
暫く俺が歴史書とにらめっこしていると、ルシュが戻ってきた
重そうな本を4冊抱えてきた
「クラエとメニルにおススメ聞いてきた」
どうやら文字の辞書、単語の辞書どちらも2冊ずつ、それぞれおススメされたものを持ってきた様だ
…こうして俺とルシュの別の意味での戦いが始まった
……2日後
「おはようございます。今日も早いですね」
図書館の入り口でクラエに挨拶される
俺とルシュも挨拶を返し、本日の分の料金を支払う
この二日間、悪戦苦闘しながらも何冊か本を読破した
ダークエルフは妖精族だが魔族と友好的だったため、人族と争っている最中は魔族として認識されていた
みたいな時代背景の様な予備知識を多少蓄える事が出来た
ロウザン自身に関しての情報はあまり記されておらず、情報が少なかった
どういう戦いで活躍したのか、デュコウを支える偉大な将であった、といった記述は見つかったものの
どうして敗れたのかと言う部分については、ロウザンが人族に敗れた、と言う記述しか見つからなかった
今はデュコウ建国歴3360年、初代魔王アンティロの時代は1800年辺りまで続いたらしい
大昔過ぎて正確な情報が残ってないのも致し方ない事ではあるだろう
俺の元いた世界なら歴史学者や歴史好きの人がインターネットにそういう情報を調べてまとめて載せてくれているだろうな
等と思ったりもしたが
無いものねだりをしても仕方がない
そんな中、ルシュが文献の中からとある情報を見つけた
初代魔王の時代に争っていた人族の国は、現在あるレインウィリスでは無かったと言う事だ
当時デュコウと争っていた人族の国はエドリガ、現在では既に滅んでいる王国だ
レインウィリスはエドリガが滅んでから暫くしてから建国されたらしい
しかし、情報はそこまでであり、エドリガについて詳しい事は分からなかった
精強な国であり、
ロウザンを破った事、その後戦争が直接の要因ではなく、クーデターによって滅んだ事が記されていた
その後2日程図書館で調べていたが、これと言った情報は得られなかった
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……ルガンドに訪れて5日目
流石に連日の調べものに疲れた俺達は、ルガンドの街を散策していた
前回訪れなかったギルドにも顔を出した
マーテンよりも大きな建物で、冒険者でごった返していた
俺達を知る者はおらず、特に注目される事も無かったので、噂話に聞き耳を立てた
周囲から聞こえる話題は専らロウザンの事だった
ルガンドで最も優れた冒険者であるアバリオもロウザンに敗れている事は既に知っていたが、
このアバリオはルガンドのみならず、この国全体で見てもトップクラスに位置する実力者らしく
それほどの実力者が敗れてしまった事はルガンド冒険者に未だに大きな動揺を残していた
ロウザンに関する情報自体は特に得られそうになかったので、俺達はギルドを後にした
昼食を摂り、これからどうしようかとなった所、ルシュがとある提案をした
「私のあの魔法の事、魔導協会なら何か分かるかな?
行ってみたい」
ルシュの意外な言葉に俺は驚いた
ロウザンと対峙した時、最後にルシュが放った光弾、あれの事だろう
ただ、その後のルシュはアレを使える気がしないと言ったので、正直使用する事は完全に度外視していた
しかし、アレをモノに出来ればロウザンに関わらず様々な場面で役立つだろう
「そうだな、折角だし、行ってみようか」
俺の言葉にルシュは少し嬉しそうに頷いた