第33-2話 再びルガンドへ その2
俺とルシュは再びルガンドへと入り
まず最初に行ったのは宿の確保だった
図書館を利用するが、ある程度日数が掛かる事を想定し、
図書館近くで、尚且つ安い宿を探す事にした
これが思いの他難航する事になった
ルガンドはマーテンよりも宿の価格が高く、手ごろな値段の宿を探すのが難しかった
結局、路地の中になる小さな宿に落ち着く事になった
これまでこなしてきた仕事、グライエムの報酬などもあり、
蓄えが無い訳ではないが、それでも宿と決して安くはない図書館の利用料を考えると
最悪ルガンドで仕事をして賄う必要も出てくるだろう
初日は宿に泊まり、次の日の早朝から図書館へ出向いた
受付には前回返却で訪れた時に居た
アルラウネのクラエとドライアドのメニルの姿があった
「あら、お久しぶりですね。
図書館のご利用ですか?」
クラエは俺達の事を覚えていた様だ
メニルは前と同じで眠そうな顔をしている
「はい、二人でお願いします。」
俺はそう言い、2人分の利用料、60ラントを支払った
この利用料はかなり高い、出来るだけ早く目的の情報を手に入れないと支出が怖い
「ロウザン・レーゼンダルについて書いてる本ってどこにあるの?」
ルシュがクラエに尋ねた
「あら、あなた方も今噂の将軍様についての事を調べに来たのですね。
二階の奥から4番目の棚が当時の歴史書になりますが、何分当時のものは不明瞭な部分も多いので、
少し探すのは大変かもしれませんね」
クラエはちょっと困ったように笑って答える
初代魔王の時代、千年以上前だという、その時代なら確かに史料としても整理しきれない所もあるかも知れない
それに、さっきクラエの言葉に『あなた方も』とあった
俺達と同じ考えを持つ者が他に居ても不思議はないか、単に今噂の人物を調べたい者かもしれないが、
どちらにしても彼等に先を越される訳にはいかない
「ありがとうございます。
ルシュ、行こう」
「うん」
俺とルシュは足早に図書館の奥へ入っていった