第32-14話 負けず嫌い その2
ルシュの驚きと期待に満ちた瞳
つい口をついて何とかなるかもと言ってしまったが
これには根拠も確証も無い
「……詳しくは明日話をするよ、気になると思うけど今日はもう休もう」
取り敢えず考えをまとめつつ俺は寝る事にした
ルシュは気になる様子だったが、大人しく俺の言葉に頷いてくれて床についた
------------------------
次の日
朝食を摂りながら、俺は昨日の考えをルシュに話した
「弱点?」
ルシュは俺に尋ねてきた
「そう、ロウザンにも弱点はあるんじゃないかと思うんだ」
俺の言葉にルシュは少し思案顔だ
「まあ、その…身近な例えとしては、ルシュ、君のケースだと
君はとてつもなく強い、でも、君の場合は少し疲れやすい…と思う」
俺の言葉にルシュは少し苦い顔をするが頷く
「俺の場合は、まあ、そんな事言えないくらいには体力が足りないから、君の事を言えた訳じゃ無いんだけど…
あくまで例だよ、そんな感じでヤツだって完璧じゃないと思うんだ」
「うん…」
俺の言葉にルシュは納得したような、そうでもないような表情だ
「ヤツに本当に弱点があるかは分からない、でも
ロウザンは『人族に敗れて封印された』んだ」
俺の言葉にルシュはハッとした表情になる
「もちろんその人族がとてつもなく強かったのもあると思う。
けれど、あそこまで圧倒的な強さを持つ魔人を圧倒出来る程の人族なら、何かしらの弱点を突いた可能性がある」
ルシュは黙って俺の次の言葉を待つ
朝食を食べる手も止まっている
「伝説の魔将なんだ、記録が残ってる可能性がある。
どうやって倒され、封印されたのか、それを調べよう」
俺の言葉にルシュの瞳に光が戻る
「その記録がある場所…」
ルシュにはもう俺の次の言葉が分かっている
「そう、デュコウ最大の図書館がある、ルガンドだ」
俺とルシュは目を合わせ、頷いた