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第32-10話 強敵 その2
ルシュの掌が光る
その手から投げられた光の球、光弾が凄まじい勢いでロウザンに向かって飛んで行った
「!」
ロウザンの瞳が光った、様にみえた
直後
轟音と共に部屋が揺れ、ロウザンの身体が爆風に包まれた
石煙が舞い、その姿を伺う事が出来ない
「…」
俺は唖然としたままその様子を眺めていた
ルシュは大きく肩で息をし、膝を着いてへたりこんだ状態でロウザンの方向を見ている
……
煙が晴れてきた
そこには、剣を手に立つロウザンの姿があった
その後ろの壁に大きな破砕跡が二つ
ロウザンを避けて通り抜けたかのように出来ていた
「そんな…」
ルシュが呟く
俺は口が開いたまま言葉を発する事が出来なかった
そこで気付く
ロウザンの持っている剣の刀身が半分しかない事に
「これ以上は続けられそうにないな」
ロウザンの言葉に俺達は何も答えられなかった