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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第32-4話 ガリュエヌ山道

結局、ギルドと領主からの指名依頼を断る事は出来なかった


後日、俺とルシュは馬車に乗ってガリュエヌ山道を進んでいた


馬車…とは言うが引いている生き物は馬じゃない

ブロンと言う毛むくじゃらでがっしりした牛の様な四足歩行の動物だ

馬ほど速くはないが、とても丈夫なので荒れ地や山道を通る際に使われる事が多い


人族の国は馬が、魔族の国はブロンが移動手段として使われていた様だが、

両種族の対立が終わり、文化の流入が行われた結果

魔族の国でも平地は馬がメインになった様だ


体躯の大きなオーガやミノタウルスはブロンに乗るので、需要は存在するみたいだ


そんな感じで俺達はゆったりブロンの引く馬車に揺られ山道を登る

やや荒れ気味な道中、馬車はガタガタ揺れる

俺とルシュは揺れで態勢を崩さないように馬車の中にある荷物にしがみついた状態になっている


ガリュエヌ山を伸びる山道は多くの地域に広がっていて、マーテンの郊外、南西にあるアドザ、更に南にあるルガンドに伸びる

それだけでなく、山の西、つまり反対側にも伸びていて、かつては行路としても利用されていたそうだ


その中継地でもあったガリュエヌ城を統治する者が居なくなって以来

山道には魔獣が溢れ、余程腕に覚えのある冒険者でなければこの山道を通る事は叶わなくなっていた


そんな危険な山道を登っているはずなのだが…


あまりにも穏やかだ

かれこれ数時間山道を進んでいるが、魔獣の気配はない

それどころか隊商やら冒険者やらとすれ違う事すらある


そもそも魔獣が出てくる山道を馬車がゆったりと進む事など出来ない

俺は不思議に思っていた


「アンタ達もガリュエヌの賊って言われてるロウザン様に挑むんだろ?」

馬車の運転手が話しかけてくる


「ええ、まあ…」

俺の返事に運転手はちょっと笑う


「アンタ達挑戦者のお陰で俺達も仕事が出来て有難いことだよ。

ちょっと前まではこんな危険な場所通ろうだなんて思わなかったからなあ、魔獣だらけで」

運転手は上機嫌に喋る


「なんでまた急に通れるようになったんですか?」

俺は疑問を運転手にぶつける


「ロウザン様が古城に住んでる魔獣ごと山道の魔獣も倒したって話だぜ」


マーテン近郊にガリュエヌ山道の魔獣が出てくることがあったのは、その影響か?

賊から逃れ山道から出てきたと言う事か


しかしガリュエヌ山道の魔獣は強力だと言う、それを賊が単身でここまで安全な道になるほどに

魔獣討伐をしたのか?

どう考えてもまともじゃない、流石に賊を討伐に来た冒険者が駆除した結果とも考えられる…


運転手は続ける


「そのお陰で山道は使えるようになって、おれたちゃ仕事にもありつける。

宣戦布告したって話だけど、俺にはあの賊は本物のロウザン様だと思ってるぜ。

ロウザン様々よ」


運転手の嬉しそうな話も分からなくはない


実の所、古の将軍ロウザン・レーゼンダルを名乗る賊の評判はそこまで悪く無かった

魔族至上主義と思える宣言における評判ではなく、単なる伝説の将軍に対する期待が入り交ざったものであった

半ば本物ではないかと信じられていると言って良い状態だった

宣戦布告に対しては不安のある声もあるが、今の所大きく動く様子が無い事もある


そうして山道を揺られ続け、一日が経った後


「さあ、そろそろ着くぞ」

運転手の言葉通り、視界の奥に小高くそびえたつ城の姿が目に入ってきた

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