第31-10話 依頼の後で
「へぇ~」
チティルがムーグの話に相槌を打つ
……
あの変なコンビと戦った護衛依頼が終わった後、
マーテンのギルドでチティル、ルシュと合流して食事していた
「喋るゴーストは初めて見たからな、流石に驚いた」
ムーグの言葉を興味深そうに聞き入るチティルとルシュ
「確かに、聞いた事ないね~
レゾルも流石に知らなさそうな気がする」
チティルがジュースをストローで吸ってから話す
レゾルはまた別の依頼を受けているらしくこの場には居ない
レゾルは訓練に依頼とかなり精力的に行っているらしいが、意外にも単独行動が多い様だ
彼らが三人で臨むのはそれなりに大きな依頼になるのかも知れない
「そう言えばあの荷物、結局ゴッズの遺産なんかじゃなかったそうだ」
ムーグが俺に話しかける
そう言えばそんな噂があったって言ってたな
「なんだったのか分かったのか?」
俺はムーグに尋ねる
「細かいところはこれからって感じらしいが
どうやらゴッズの時代よりも遥かに昔の物らしい。
デュコウのものでもレインウィリスのものでもない可能性もあるそうだ」
思ったより特殊な出自の物だった様だ
「大半は魔力を失った魔道具で、残ってる物も使えそうなものはほぼ無かった様だ。
好事家のコレクションらしいが、随分な物好きだな」
そう言ってムーグはエールを飲みだした
ここで俺は一息つく
「ところで、そっちはどうだった?」
俺はルシュに尋ねた
俺の言葉にルシュは少し顔が綻ぶ
「凄く楽しかった。
チティルの部屋、綺麗で広かった」
この様子を見ると、余程楽しかった様だ
自然と俺の頬も緩む
「ふふっ、色々お話したし一緒に寝たね」
チティルはルシュに微笑みかける
「うん、チティルはふわふわでさらさらだった」
ルシュの言葉にチティルが笑う
「ルシュちゃんはひんやりしてたよ~」
このやり取りで二人は楽しく過ごせたことが十分伝わってくる
あの警備の仕事は中々大変だったが、上手く終えられたし
それなりの収入にもなった
そして、ルシュの力がなくとも何とか出来た事に俺は充足感を覚えていた
…かくして奇妙なコンビと出会った仕事は終わり、この日が過ぎていった