第31-9話 奇妙なコンビ その5
棍棒で繰り出した一撃がバラバラバーの頭部にクリーンヒットした
「ぐ、うおぉ…!」
バラバラバーは頭を抱えフラフラとよろめき、
馬車の近くに倒れ込んだ
「よしっ…!」
致命傷と言う程ではないだろう、だが決め手になった
そして程なくして、
「うわぁぁ~」
という声が頭上から聞こえ
バラバラバーの上に青い布が落ちてきた
「ふぎゃっ」
ノートンが飛んできた様だ
「おお、こっちも決着がついたようだな」
ムーグがこちらに歩いてきた
「ああ、なんとか…」
俺の言葉にムーグは満足そうに頷く
「上出来だ」
そう言ってバラバラバー達の方を見る
少し伸びていたバラバラバー達が、よろよろと立ち上がる
「ぐ、くそぉ…」
悔しそうな声を出すバラバラバー
「これは無理だよ、諦めようよ」
弱気なノートンの声
ノートンの言葉にバラバラバーは
「ちくしょう、仕方がねえ、今日はこれくらいで勘弁してやる!
覚えてやがれ!」
そう言って頭にノートンを乗せたままフラフラと走り去っていった
………
周囲に静寂が戻る
「追っ払ってくれたみたいだな」
荷物を運んでいた二人がこちらに寄って来る
「まあ、戻ってこないだろう、多分な」
ムーグはそう返事する
「いやぁ、助かったよ」
「流石だ」
彼等から口々に礼の言葉が並べられる
「何とかなって良かった…」
俺は内心ほっとしていた
「まだ警護は終わってないからな、気を抜くなよ」
ムーグの言葉に俺はハッとして頷いた
この後はこれと言ったアクシデントも無く、無事に依頼をこなすことができた
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「散々だったね」
夜の平原を歩くバラバラバーとノートン
「今回はたまたまだ、次はこうはいかないぜ」
バラバラバーは握った拳を開く
「それに、コイツはゲットしてきたからな」
その手のひらの上には薄型で四角の金属製プレートがあった
「これは…」
ノートンはプレートを覗き込む
プレートの中央には青い石が埋め込まれていた
「馬車近くに倒れた時に取ってきたの?」
ノートンの言葉にバラバラバーは頷く
「ははははは!俺様はただでは転んでやらねえからな!
これで大金持ちだぜ!」
そう言って高笑いする中
「うーん…お金にはならなさそうだけどなあ…」
ノートンがぽつりと呟いた




