第31-7話 奇妙なコンビ その3
「これでどう!?」
ノートンの前から氷のつぶてが放たれる
ムーグに向かって真っすぐに飛んでいくそれを
ハンマーで事も無げに打ち払う
魔法を撃ち、動きが鈍ったノートンにムーグが迫る
「そらよっ!」
ハンマーの重量感をものともせず、ムーグは素早く横にスイングする
「うぐっ!」
ムーグのハンマーがノートンを捉える
「うわあああっ!」
ノートンが後方に吹き飛ばされ、地面に落ちる
「ようやく当たったな、てこずらせやがる」
「やってくれたね…」
ノートンはよろよろと浮かび上がる
ムーグはちらりと馬車の方を見る
ヨウヘイとバラバラバーが向かい合っている姿が見える
どうやらヨウヘイは体格差があるにも関わらず善戦しているようだ
目の前を漂うこのゴースト、ノートンは
ふらふらと動き、こちらの攻撃を的確に避けてくるから
そんじょそこいらのゴーストより遥かに厄介だ
だが、さっきの魔法と言い、今の緩慢な動きと言い
息切れしてきたようだ
「さて、そろそろ決着だな」
ムーグはハンマーを構え、ノートンを見据えた
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「うぉらぁ!」
バラバラバーが拳を振り下ろす
しかし予備動作の拳の振り上げで攻撃の予測が出来る
俺は横に跳び、ヤツの攻撃をかわす
「ちくしょう!どうして当たらねえ!」
さっきから幾度となく攻撃を回避され、バラバラバーは頭に血が上っている
バラバラバーの攻撃は単調で動きが大きい、避けるのは難しくない…
が一回でもまともに食らえばただじゃ済まない
そして俺の攻撃が奴に効いている感じがしない、
ただ痛いには痛い様で、ヤツの苛立ちが感じられる
何度も空振りをしたバラバラバーは疲れで肩を大きく動かしている
「くっそ…!」
バラバラバーは息を整える
「今度こそ!」
バラバラバーは俺にまっすぐ突進してくる
俺は少し後ろに下がり、迎え撃とうとする
不意に体がぐらつく
「!?」
何かに躓いた!?
「おらぁ!」
バラバラバーの拳がまっすぐ突き出されてきた