第30-6話 ウアルの村と神官 その2
翌日、俺達は宿を出て
教えてもらった村長の家へと向かった
村の東の奥、村を取り囲む柵の近くにその家はあった
大きさは他の家と比べると少し大きい、木造の建物だ
アリエラさんが戸を叩く
「ごめんください、レインウィリスから参りました、レダ教神官の者です」
そう言ってから少しすると、扉が開かれた
そこに現れたのはオーガのおじいさんだった
腰が曲がっているが、それでも俺よりも背が高い
この人物がこの村の村長だろう
「神官さんじゃと…?何用ですかな?」
老人は口を開きそう言った
……
家内に案内された俺達は、席につき村長を向かい合う
俺達はアリエラさんを挟む形で座り、中央はアリエラさん
村長と交渉?するのは彼女だからだ
「と言う訳でして、宜しければこの村の近くに出没している
アンデッドの浄化を行わせて頂けたらと思いまして…」
アリエラさんが簡単に説明を行う
アリエラさんの言葉を聞いて、村長は少し困った顔をする
村長の後ろのキッチンで作業している娘さん?がこちらの方向を見て様子を伺っている
「何か問題があるんですか?」
あんまり口を挟む気は無かったが、村長の表情が気になったので声を掛ける
「うーむ、アンデッドの出現はこれまでも何度もあり、
その都度冒険者に依頼をしていましてな。
満足にお支払い出来る報酬の用意が難しいのです」
と説明してくれた
なるほど…と俺が納得していると、アリエラさんが
「あの…、報酬無くても、良いでしょうか?」
と俺達に小声で話しかけてきた
「元々そうだったので、大丈夫ですよ」
俺は小声で返答する
その言葉にアリエラさんは顔を綻ばせる
「ありがとうございます」
そう言って村長に向きなおした
「報酬は必要ないです。
その代わり…この村でレダ教を布教するのをお許し頂けないでしょうか?」
と村長に話しかけた
…そういえばレダ教を布教したいって言ってたな
「報酬無くてもよろしいのですか!?
布教…ですか…
神官さんの事は分かりませんが、村人たちが困らないのであれば喜んで」
村長の言葉にアリエラさんは礼を述べ、頭を下げる
「早速昼に向かいたいと思いますが、ヨウヘイさん、ルシュさん、問題ないでしょうか?」
アリエラさんの言葉に俺達は頷く
「村長様、アンデッドが出てくる場所をお教え頂けますか?」
アリエラさんが村長に詳細な話を聞き出していた
そうして俺達はアンデッド退治に向かう事になった