第30-4話 レダ教の神官 その3
俺とルシュはアリエラさんと一緒にルガンドから北東へ進み始めた
ルガンドの北東は丘陵地帯になっていて、広大な丘が広がっていた
整備されてはいないものの道はあり、非常に見通しも良い一帯だ
「目的地のウアルの村は、この丘の向こうにあるみたいです」
アリエラさんが話す
遠目には獣の姿がちらほらと目に入る
魔獣も中にはいるだろう、あまり近付かないようにして進む必要がある
「開けてるので奇襲は受けないと思うけれど、注意して行きましょう」
俺の言葉にアリエラさんが頷く
……
道中、俺達は互いの事を話した
マーテンで冒険者をしている事を聞いたアリエラさんは
「まあ、人族がほとんどいない街で暮らしてたんですね。
なんだかドキドキしてしまいそうです」
そう言って微笑むアリエラさん
そうして俺達の話をした後、次は彼女の話になった
「私は人族の国レインウィリスのエーメと言う街からここルガンドへと旅してきました」
彼女は杖を持った状態で歩みを進めながら口を開く
「魔族さん良い方多いですよね、わたしもここに来るまで、
色々とお世話になりました」
そう続ける
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道のりは順調だった
途中で体長2メートル程の中型の魔獣に襲われたが、
ルシュが難なく撃退した
その後、ガワくらいの大きさの小型の魔獣に襲われ、
俺が引っかかれたものの、こちらも問題なく撃退した
「…ふぅ、初めて戦う魔獣だけど、何とかなったな…」
俺達は手ごろな岩を見つけ、そこに腰掛ける
「ヨウヘイさん、怪我を見せて頂けませんか?」
アリエラさんが声を掛けてくる
「これくらいなら大したことないので大丈夫ですよ」
俺はそう返事する
「いいえ、魔獣から守って頂いたのです。
これくらいの事はさせて下さい。
お怪我が悪化すると良くありません、さあ」
彼女に気圧され、俺は引っかかれた腕を捲って彼女に見せる
俺の腕からは魔獣のひっかき傷が入り、まだ出血している
俺の傷を見て、アリエラさんの目つきが真剣なものになる
そして
「我らが主神よ、その光にて傷を癒したまえ…レファ!」
杖を上に掲げる
その言葉の直後、俺の腕の痛みが消えていく
「おお…!」
俺の腕の傷もすっかり消えている
「凄い!」
ルシュもその様子を見て感嘆の声を挙げる
「これが神聖魔法…!」
俺の言葉にアリエラさんが微笑む
「神の奇跡と私達は言っていますが、神聖魔法とも呼ばれていますね。
これでもう大丈夫です」
俺の腕に手を添え、アリエラさんが話す
「ありがとうございます。
少し休憩したら、行きましょう」
俺の言葉に二人とも頷いた
……そして日が傾き始めた頃、視界の向こうに建物が見え始めてきた
「あれがウアルの村でしょうか」
アリエラさんが口を開く
「何とか到着しましたね、後少しです。
急ぎましょう」
俺はそう言い、
俺達は村への歩を速めた