第28-3話 風変りな依頼
「ご指名の依頼…?」
俺は一瞬言葉の意味が分からずに反芻する
「へえ、指名の依頼なんて、有名になったね~」
チティルが感心した様子で話をする
「グライエムの件でギルドではもう名が知れてるからな。
依頼する側にも知ってる連中はいるだろうな」
ムーグが口を開く
「依頼の詳細は直接お会いしてからお話したいそうです。
承諾するか判断するのもその時で良いそうです、どうしますか?」
モアさんが俺達に話しかける
俺とルシュは目を合わせる
ルシュは俺に向かって頷いた
「分かりました、お話を伺いに行ってみようと思います」
俺はそう返事した
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翌日・スラム近辺
「ここ来るの久しぶり、前にチティルと来た時以来」
ルシュが周囲を見渡しながら話をする
「俺は最初に一回来た時以来だなあ、依頼主が住んでるのはスラムの中らしいけど…」
俺もキョロキョロと見渡す
市街地と違って建物が一気に古めかしくなり、
バラックの様な建物もちらほらと点在している
俺達の場違いな姿は以前同様に周囲の視線を集めている様だ
俺達はモアさんに渡された紙に書かれた住所を探して、スラム内を進む
暫く歩いて進むと、俺達の前に体格の大きなオークが姿を現した
「アンタ達は…」
オークが口を開く
この姿…見覚えがある
灰色で筋肉質なこの姿、最初に俺達がスラムに訪れた時に出会った男だ
「何の用で来たんだ?」
オークが口を開く、以前の時の様なトゲトゲしさを感じない口調だ
「仕事の依頼主がスラムに住んでるんだ。それで話を聞きに来た」
俺が説明する
「エデリオさん、って名前らしいが」
俺の言葉にオークは視線を上に向ける
何かを考えている、様に見える
「なるほど、多分知ってるぜ、案内するよ」
以前の様な警戒心も敵対心も感じられない意外な返答が来た