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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第26-5話 グライエム

グライエムの前脚が振り下ろされる


レゾルはその一撃を斧で受ける


「ぐっ…!」

グライエムの巨体に見合った攻撃の重さ

受けきる事が出来ない


斧を斜めに傾け、攻撃を受け流す

甲高い音を立て、グライエムの爪が滑り、地面に突き立てられる


直後


「ぐうっ!」

左肩に強い衝撃受け、レゾルの巨体が数メートル後ろに吹き飛ぶ



「兄貴!!」

ムーグが叫ぶ


「っ…

大丈夫だ、この程度では倒れん」


レゾルが立ち上がる


グライエルを見ると、口を開けている

その奥から覗く胸部に紫色の光をたたえている事が伺える




レゾルは思案する

グライエムにはこうやって魔素を収束させて吐き出す攻撃がある

日頃から鍛錬し、防具も身に着けている自分ならば何度か耐える事が出来るが、

チティルの様に身軽な者たちならば致命傷にもなり得る


単に逃げるとしても、一筋縄にはいかない相手だが、

もうチティルが追いつかれる事はない

彼女ならば無事にマーテンへたどり着き、討伐隊を連れてくるだろう


この怪物がマーテンへ向かってしまうと、大きな被害を出す

最悪の事態は避けた、それだけでもやれる事はやったと言えるかも知れない


しかし…

チティルがどれほど早くマーテンへたどり着いたとしても、

そこからグライエム討伐の人手を集めてここまで辿り着くのに

最低でも2時間はかかるだろう


どう考えてもそれほどの時間を持ちこたえる事は出来ない

それは、ムーグ、チティルも理解出来ているだろう



…冒険者をしていて常に最善を尽くし、油断していたつもりはない

だがどこかに驕りがあったのかも知れない


その結果がこうして仲間を巻き込んでしまったのだ


「情けない…」

レゾルは思わず口をついてしまう


だが自分にも矜持がある

このままでは終われない


両手斧を強く握りしめ、グライエムに向かい合った



-----------------------------


「グライエム?」

初めて聞く名前だ


「聞いた事ない」

ルシュが率直な感想を述べる


「アタシも名前は聞いた事あったけど、見たのは初めて。

でも、あんな化け物が居たなんて思わなかった」

チティルの表情に焦りが見える


俺達は今、森の奥を目指して走っている

チティルが先導し、俺とルシュがそれに続いている



これまでにはない緊急事態

その中でも俺は考えてしまう


レゾル、ムーグ、チティルの3人のパーティ…

戦っている姿を見たのは数回だが、冒険者として活動していると嫌でもその活躍は耳に入る

彼らがマーテンでも有数の実力者なのは間違いない


そんな彼らが即座に逃げる事を選ぶ程の相手


俺達にどうにか出来るのか…?



いや、ルシュなら、ルシュなら戦えるか


チティルは以前にルシュと一緒に行動し、その力を目にしている

だからこそそれに賭けたのか


俺達は彼らに助けられている

このまま見殺しには出来ない


そう考えて走っていると、視界の向こうに何か見え始めてきた

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