第26-2話 異変 その2
ある日、俺とルシュは薬草採取の依頼を受け、
マーテンの北北東にある平原に来ていた
北側にはルーソーの森と言われる場所がある
ここは、危険な魔獣が出ると言った報告はないものの、
木々が鬱蒼と茂っている場所であり、安易に足を踏み入れると遭難してしまう危険性があり
冒険者が立ち入る事は少ない場所だ
今回の依頼は本来はルーソーの森に生えている薬草なのだが
森に深く踏み入る事は推奨されず
その近くで採取を行っている
午前中に平原に向かい、少しずつ移動しながら採取を行う
魔獣の襲撃も無く、昼食をとる時間にもなると、
必要量の半分の薬草は集まった
「この辺りにはもう無さそう」
ルシュが俺に向かって話しかけてくる
「確かに、もう少し離れると全く見かけかったしなあ…」
あまり森に近付き過ぎないようにしていたが、
これ以上は難しそうか
「入り口に近ければ迷う事は無いし、少しだけ森に入ろうか」
俺はルシュに提案する
「うん、迷いそうになったら私が木の上に登って確認する」
ルシュのナイス提案に俺は納得し、ルーソーの森に踏み込んだ
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森の入り口付近、視界には森の外が映っているので
まだ迷う事は無い
取り敢えず付近を探してみる
「ん、あそこにある」
ルシュが木の根元に近付く
草も生い茂っているので中々難しいが、
ちらほらと薬草が生えている事に気付く
「これなら必要分見つかりそうだ、もう少し探してみよう」
「うん」
慎重に森の奥へ踏み出しながら薬草を集めていった
……
「こんなものじゃないかな」
俺の言葉にルシュが頷く
「じゃあそろそろもど…」
そう言いかけた時
「まって、何か来る…」
ルシュが森の奥を注視しながら話しかけてくる
「えっ?」
俺がそう返事した直後
森の奥から何かが凄い勢いで飛び出してきた
その姿は茶色い翼に金髪の髪色をしたハーピィだった
「チティル?」
俺とルシュが同時に喋る
そしてチティルは俺達の様子に気付いた
「ルシュちゃん、それにヨウヘイクン!」
「一体何が…」
そう言いかけた俺を制し、チティルが喋る
「急いでここから離れて!マーテンへ…!」
鬼気迫る勢いでチティルが叫んだ