第25-14話 アネイル
「協力感謝するよ、ありがとう」
山道から降りた俺達は、ユネンの村の自警団に
カドロ達賊三人を引き渡した
「これ、少ないが謝礼だ、受け取ってくれ」
そう言って自警団の一人から200ラントを受け取った
「これは協力してくれた貴方達に譲るわ」
そう言うアネイルに対し
「いや、そういう訳にはいかないです。
俺達はリキリアの花を採りに来ただけで、お世話にもなったので」
「うんうん」
と返す俺とルシュ
そうこうやり取りした結果
俺達とアネイルで半分ずつ分ける事になった
そんなこんなで謝礼を分け合った後
「もう日も暮れて来ちゃったし、疲れたでしょ。
今日も泊まっていくと良いわよ」
そう言ってくれたアネイルに甘え、今日も世話になる事になった
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アネイルの家で夕食をご馳走になった後、
床に就くまでの間、俺とルシュは荷物の整理
アネイルは装備の手入れをしていた
その最中、アネイルが肌着の袖を捲り、
何かをしている様子が視界に入る
「いたた…」
アネイルは腕を怪我している様で、そこに軟膏を塗っていた
「あの時のナイフですか?」
俺はアネイルに尋ねる
「うん、完全には防ぎきれなかったわね…
毒が塗ってなくて良かった」
少なくとも俺の目からはアネイルは賊のリーダー、カドロのナイフを捌き切っている様に見えたので
怪我をしているとは思わなかった
「対魔族慣れしていないとは言え、私もまだまだね…」
そう呟くアネイル
俺の目には彼女の動きはかなりの熟達した雰囲気を感じた
カドロのナイフ捌きは少なくとも俺には防げるものではないと確信出来るものだった
「そんな事ないですよ、俺にはアネイルさんの様に動くことは出来ない」
「ナイフをキンキン弾くのかっこよかった」
俺とルシュが思い思いの感想でフォローする
「ふふっありがとう」
俺達の言葉に笑顔で答えるアネイル
「あなた達の手際も見事だったわ。
ルシュはまさかあのオーガを軽く叩き伏せるとは思ってなかったし、
ヨウヘイも見事に隙をついて攻撃出来ていたわ、流石ね」
アネイルからの称賛に少々こそばゆい気持ちになる
「そういえば、アネイルはあの剣を使わないんだね」
ルシュが不意にアネイルに問いかける
その視線はアネイルのベッドの傍に掛けられている
青白く装飾の施された剣だ
確かに彼女と初めて出会った時、そして日中使っていた剣は
使い込まれた鋼で出来た剣だった
これも立派な剣ではあるが、この青白い剣に関しては何と言うか
特別な剣、と言った感じがする
ルシュの言葉に一瞬だけ間を置き、アネイルが口を開いた
「あー、この剣はね…うん…」
そう言い澱んでから、アネイルは言葉を続けた