第25-9話 ルッソ山道へ その4
アネイルの案内の元、俺達はルッソ山道へと踏み出した
ルッソ山はそこまで樹木に覆われている訳ではなく
それなりに露出した岩肌が目立つ山だった
山道は幅3メートルくらいで、思った程勾配は無い
「リキリアの花ってどの辺りにあるの?」
ルシュがアネイルに尋ねる
「そうだねぇ、大体中腹くらいで見掛ける事が多いかな。
そこまで珍しい花ではないから、簡単に見つかると思うよ」
アネイルは腰に剣を携え、動きやすそうな軽鎧を着ている
そして縄を担いでいる
「それ、重くないですか?俺が持っても良いですよ」
縄は頑丈に作られているもので、重量感がある
「大丈夫大丈夫、これは私が持っていくって言ったからね。
もしも賊が出たら逃げられないように縛らないとね。
鍛錬にもなるし」
アネイルは特に負担にはなっていないようだ
細腕に見えるが、体力はかなりある事が伺える
見た目にはよらないと言う事か、その最たる例であるルシュが隣にいるのだが…
「山道とは言っても、割と広くて歩きやすいですね」
「この山道はこちら側、エルアーノ地方と、向こうにあるオルトヌ地方を繋ぐ道の一つでもあるからね。
昔は頻繁に使用されていて、その時に整備されたらしいわ」
俺の言葉に、アネイルが答える
山道の山沿いには所々岩が出っ張った場所があり、
場所によってはその辺りに隠れる事も出来そうに見える
同じ事をアネイルも考えている様で、彼女も岩陰を気にしながら歩いている
「集落に来てないならこの辺りに居る様な気がするのよね」
アネイルはそう言いながら岩陰を覗く
賊が居ないか警戒しつつ花を探して俺達は進む
途中にあった湧き水で喉を潤したり、
俺がリキリアの花と勘違いして摘もうとした植物を
アネイルが触ると暫く痛みがある毒があると教えてくれて間一髪だったりなど、
ちょっとした出来事がありながらも、
山の中腹まで順調に来ることが出来た
「この辺りにあると思うんだけど」
アネイルが山道の先に目線を向けながら話す
そう言ってから踏み出した直後
「待って」
ルシュが制した
「誰か、いる」
ルシュは右手にある岩場に目を向けた
俺はメイスを構え、アネイルは鞘から剣を抜いた
直後、岩陰から人影が現れた