第25-8話 ルッソ山道へ その3
アネイルが昨晩のスープを温め直し、
俺達三人は朝食をとった
朝食を食べた後、
俺達は荷物のチェックを行っている最中、
ドアがノックされる
「あら、お客さんみたい、ちょっと待っててね」
装備の確認をしていたアネイルが玄関に向かった
アネイルが玄関を開けると、そこにはコボルトの姿があった
「ベルズさん、おはよう。どうしたの?」
アネイルの知り合いの様だ、恐らく集落の住民だろう
「アネイルさん、おはよう。
ここは大丈夫そうだな…
ん…?」
ベルズと呼ばれたコボルトの男は俺達の方を見る
「あ、この人達は冒険者よ。
クィノーレンの町長さんの依頼でリキリアの花を採りに来たのよ」
アネイルの言葉にベルズは納得した様だ
「そうだったのか、リキリアの花と言う事はルッソ山に行くんだな。
丁度良い、関係あるかも知れない話だ」
ベルズは言葉を続けた
「ルッソ山の先にあるユネンの村の自警団がさっき集落に来てだな、
賊が来てないか、被害を受けてないかって尋ねられたんだ」
「賊?」
ベルズの言葉にアネイルが反応する
「うむ。
オーガ一人とコボルト二人の三人で、
どうもユネンの自警団に捕らえられた後、詰所に連行される前に逃げ出してルッソ山に入った様だ。
自警団は一先ずこっちに来て確認してくれたらしい」
「なるほど、それで賊がまだ山道に潜んでるかもしれないって事ね」
アネイルの言葉にベルズは頷く
「そういう事だ、クィノーレンに向かった可能性もあるから、自警団はクィノーレンへの道を調べに行ったよ。
アネイルさん、冒険者の二人もルッソ山道に行くなら気を付けてな」
「はい、ありがとうございます」
「ありがとう」
俺とルシュはベルズに礼を言う
「俺達はこの辺りの捜索を行ってから、山道の調査に入ろうと思ってる」
「ベルズさんも気を付けてね」
右手を上げ、ベルズは応えてから去っていった
アネイルはベルズを見送ってから、俺達の方に向き直る
「ヨウヘイ、ルシュ、どうする?
今行くのはちょっと危ないかも知れない。
ユネンの自警団か、集落の人が賊を見つけるまで待つ事もできると思うけど」
「うーん…」
確かにアネイルの言う事は一理ある
だが魔獣と戦ってきて、それなりに戦闘経験はある
「大丈夫、私達戦えるよ」
「ルシュ…」
「そうだよ、ね、ヨウヘイ」
ルシュの言葉は力強い
「…そうだな。
アネイルさん、行きましょう」
俺とルシュの様子を見てアネイルが微笑む
「分かったわ。私も剣を多少使えるから
仮に賊が出てきても後れを取ったりはしないわ。
何かあっても二人を守ってみせるから」
そうして、俺達はルッソ山道へ出発した