第25-7話 魔人の女性 その2
翌朝、鳥の鳴き声で目が覚める
「ん~…」
上半身を起こす
麻のシーツと薄いカーペットで決して良い寝床とは言えないが
それでも屋内と言うだけで十分安心して休むことが出来た
隣を見ると、ルシュはまだ眠っている様だ
ベッドに視線を向けると、アネイルの姿はない
キッチンに視線を移すが、そこにも姿が無い
俺は起き上がり、入り口のドアを開けた
「あら、おはよう。
起こしちゃったかしら」
「おはようございます。
いえ、良く眠れました」
外に居たアネイルに声を掛けられた
彼女は木剣を持って素振りをしていた様だ
「朝から鍛錬してるんですね」
俺も少し棍棒を素振りしたりしたことがあったが、
特に上達を感じた訳でも無く
今は棍棒を振るうのは戦闘だけになっていた
「日課にしてるの。
雨が降ってる日なんかはやらない事もあるけれどね」
そうこうしていると、
後ろから気配を感じた
「おはよう、ヨウヘイ、アネイル」
「おはよう、ルシュ」
「おはよう」
ルシュが俺の後ろから姿を覗かせる
ルシュは外に出て両腕を天に突き上げ、身体を目いっぱい伸ばす
「ん~、お腹すいた…」
ルシュの言葉にアネイルはクスリと笑って
「それじゃ、朝食にしましょうか。
食べたらルッソ山道に行きましょう」
アネイルの言葉に従い、俺達は再び彼女の家の中に入った