第25-4話 ルッソ山道へ
俺とルシュは幾つかの携帯食等の荷物を持ってクィノーレンを出た
ルッソ山道へと続く道はこれまで通ってきた街道とは違い
狭い、その様相は様々であり、町を出てすぐは平原となっていたが、
進むにつれて次第に茂みとなっている箇所、林もちらほらと視界に入る
起伏もある程度あり、荒れている部分もある
これでは確かに馬車を使う事は出来なさそうだ
馬だけならば通れなくもない気もするが、
あいにく俺もルシュも乗馬の技術はない
ここは大人しく徒歩で進むしかないだろう
幸い期限は1週間
時間は十分にある
丁度太陽が真上を差し掛かるころ、大きな木の下に立て札が刺さっているのを発見した
立て札にはルッソ山道への方角と、クィノーレンへの方角が記されており、
それはこれまで迷うことなく進めてきた事の保証にもなった
この大きな木の下には手ごろなサイズの岩が幾つかあり、
休憩にうってつけとなっていた
「ここで少し休んでいこうか」
「うん」
俺とルシュは木陰の岩場に腰掛け、
持ってきた食料を食べる事にした
「結構順調なのかな、魔獣も出なかったし」
ルシュがパンの様な食べ物、リュクをほおばる
俺も同じものをほおばる
木の実が練りこまれていて、堅いクルミパンみたいな食感と味だ
「ここが丁度中間くらいの位置かもな。
」
夜にルッソ山道に入るのは流石に無謀だし、疲労も溜まる
クィノーレンの町長が言ったように近くの集落で休ませてもらうのが良いだろう
そのために渡された『支度金』でもあるはずだ
「ねえヨウヘイ、あの山がルッソ山なのかな?」
ルシュが指差す方向には山々が見える
道が伸びる先に見えるのはまさにその山の内の一つだ
「うーん、そうかも知れないな。
ここからじゃまだまだ距離がありそうだ…」
そうして暫く休憩を取り、あまり長居してしまわない内に俺達は出発する事にした
…道中は順調、とまではいかなかった
途中で魔獣と二度ほど出くわしている
ガワとグアンプだった
ガワはルシュの投石で撃退
グアンプは縄張りからは出てくる気配が無かったので、距離を取れば追ってくることはなく
無駄に消耗するよりは、と言う事で逃げる事にした
次第に日が傾いてきた
「もう夕方…疲れてきた…」
ルシュがつぶやいた
俺自身これまでの生活で体力はかなり付いてきたが、
一日歩き通しは堪える
「そろそろ見えてきてもいいんだけどな…」
そう言いながら俺達は歩みを進める
それから間もなくだった
ルシュがメイスを構えて素早く俺の前に出る
「ルシュ?」
俺の言葉の直後、脇の茂みから何かが飛び出してきた