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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第23-12話 ルシュ、頑張った

ロドンを撃退し、サキスの実から種を採取した後、

私とチティルはマーテンへ戻った



マーテンの西側、通りの交わる小さな広場で私はベンチに腰掛ける

行き程ではない物の、急いで戻ってきたので疲労している


空は既に茜色に染まりつつある

夕闇が降りてくるまでにはまだ幾何かの時間があるはず



「疲れたねー、でも材料が揃って良かったね~」

私の隣に立ったチティルが話しかけてくる


「うん、これでヨウヘイの病気が治る…」

私は水を飲み、まっすぐ前を見る


帰宅を始める町人や冒険者の姿がまばらに見える

街が徐々に休み始めようとしている


「後はその材料を雑貨屋さんで調合してもらえばいいんだよね?

じゃあアタシはここまでにしようかな」

チティルは言葉を続ける


「今日はとっても楽しかったよ、あと少しだねルシュちゃん。

頑張ってね」

そう言ってチティルは踵を返そうとする



「待って、チティル」

私はチティルを呼び止める


「?」

チティルが不思議そうに私の顔を見る


「今日は、その、ありがとう…。

チティルは凄く良い人…」

上手い言葉が思い浮かばないけど、私の思いを口にする


「ふふ、ありがとう」

チティルは優しく微笑む



そしてチティルは私の前まで歩いてきて

翼で私を包み込む


「アタシ達はもう友達だね」


「うん、友達…」


翼を戻し、私に向きなおすチティル


「これ、受け取って」

私は革袋から銀貨を5枚取り出す

生活費に大半を充てているので、私が自由に使える額はそこまで多くない

出せる目いっぱいの金額だけど

ベテラン冒険者であるチティルが満足する額ではないと思う


「ルシュちゃん、お金は今は何かと使う事も多いでしょ。

大切に持っておいて。

それに今日はアタシが自分で付いていくって言ったからね」


チティルは明るく返答する


「……」

チティルの言葉、気持ちは凄く嬉しい

でもここまでしてもらって何も返せないのは、嫌


「チティル、これだけでも受け取って欲しい」

私はロドンの爪と殻をチティルに差し出す


「これ、ロドンの…

これこそ売ったら結構高く売れると思うよ?」


「うん、分かってる」


チティルは私の瞳を見つめる


「ルシュちゃん…

ありがと、それじゃあ、爪だけ貰っておくね」


チティルは私の手にロドンの殻を渡す


「また一緒に遊ぼうね、それじゃあまた」

チティルはにこりと笑い、ふわりと浮かび上がる


「うん、またね、チティル」

私は手を振ってチティルを見送った

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