第23-11話 ルシュ、頑張る!!!!!!!!!!
「くっ!」
ロドンの追撃をチティルは回避しようとする
私が駆けたのは後ろではなく、前
「ルシュちゃん!?」
チティルが叫ぶ
私はロドンとチティルの間に割って入る
薙ぎ払われるロドンの前脚を、私は両手で受け止めた
ロドンが驚いた様に一瞬固まる
「!」
チティルも驚愕の表情を浮かべる
前脚を受け止めた状態で私とロドンは固まる
一瞬の膠着
「やあ!」
私は掴んだロドンの前脚を思いきり右に振る
「ぐおぉぉぉぉ!」
ロドンの身体が浮き上がり右に引っ張られる
「え!?」
チティルが驚きの声を挙げる
私は両腕を振り上げる
その動きに合わせ、ロドンの巨体が上に浮かび上がる
振り上げた両腕を、私はそのまま振り下ろした
ロドンの身体が思いきり地面に叩きつけられ、大きな音と地響きが起こった
「うそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??」
チティルの叫び声がツィエンの丘に響いた
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「いや~…凄いね…」
チティルが私の傍に寄ってきた
「確かにガワンの時もやるなあとは思ったけど、ここまでルシュちゃんが強いなんてね…
うん、凄いよ!」
パタパタと翼を振って驚きを表現するチティル
「えへへ…」
チティルの言葉でつい嬉しくなってくる
ロドンは私が地面に叩き付けた後、私が追撃を入れるよりも早く
前脚を引っ込め、フラフラしながらも、ものすごい勢いで逃げて行った
既にその姿は見えなくなっていた
「ふぅ…」
少し疲れたので、その場に座り込む
不意に目の前に何かが落ちている事に気付く
「これ…」
私の言葉にチティルが反応して、私と同じ方向を見る
「ロドンの爪と脚の殻かな…?
あの勢いで叩き付けられたから取れたのかも。
高く売れると思うから、持って帰ろう!」
「うん」
少し大きいけど、持って帰る事は特に問題なさそうなので、
ロドンの爪と殻を拾おうとした時、その奥に見覚えのある植物が目に入る
「あれ、これ…」
ギザギザに尖った青緑色の葉と茶色い茎、
葉の根元には白く先端がやや尖った丸い実が付いている
チティルも私の見つけた植物を見つめる
「これ、サキスの草だよ!
ほら、お店で見せて貰った実と同じ形!」
チティルの言葉が徐々に染み渡るように感情がこみあげてくる
「やったぁ…!」