第23-5話 ルシュ、頑張る!!!!
チティルと別れ、まだ巡っていない薬屋へ移動する
残りの2店舗の内の遠い方にはチティルが向かってくれるので、
私は近い店舗を目指す
あまり通り慣れない道に入ると迷ってしまう可能性もあるので、
一度大通りに出る
次の店舗は更に西にある
ピウリは曲がり角に目印になる建物を描いてくれているので、
間違えないように注意して見ていく
「ここだ…」
目印になる武具屋を右に曲がり、小道に入る
少し進むと小さな看板の薬屋が視界に入ってきた
「材料、あるかな…?」
期待と不安が入り交ざる、ここで見つからなければチティル頼みとなる
……
「……」
この店にも無かった
チティルはここに向かうと言っていた、
彼女が来るのをここで待とう
……
上空から影がよぎる
「おまたせ、ルシュちゃん」
チティルがゆっくりと下降し、着地する
「薬の材料、あった?」
これが一番気になる点だ、前置きせずに尋ねる
私の質問に、チティルは申し訳なさそうに表情を曇らせる
「ごめんね~、アタシの行った店にも無かったよ」
結局見つからなかった、力が抜けて肩を落とす
「でも、ルシュちゃんが行ってない薬屋、一つだけ心当たりがあるよ。
もちろん薬の材料が見つかるかどうかは分からないけど」
チティルの思わぬ言葉
落としていた視線が上がり、チティルを捉える
彼女は私の視線をまっすぐ見据えてから笑う
「思い出したんだよね。
ちょっと場所が良くないけど、折角だからね。
ここからそこまで遠くないから、一緒に行こうか」
私は頷く
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私とチティルは街の中を南西に移動していた
建物の様相が変わり、古びた建物や
所々廃墟の様になっている建物も見受けられる
徐々に道に物が増え、ヨウヘイと行ったチアンが悪いと言われてる場所
スラムに入っていた
「こんな所にある薬屋だし、品ぞろえはあんまりよくないかなあと思ってたけど、
普通の薬屋とは扱ってる物が違うかも知れないからね」
チティルはスラムでも特に警戒する様子も無く進む
周辺の住民はこちらを気にしている様だが、明確に何かをする様子はない
「チティルさんじゃないですか」
唐突に声を掛けられた
声を掛けてきたのは道端で座っていたオーク
顔つきが厳ついと言えばいいのだろうか
目つきが鋭い
「やあやあ、こんにちわ」
チティルは特に物怖じすることもなく挨拶する
「今日はレゾルさんとムーグさんは?」
「いないよ、今日はこの娘とデートだからっ」
チティルの言葉を聞いて、オークが私の方を見る
「そうですか、チティルさんなら大丈夫だと思いますが、
最近この辺りでスリや強盗するような連中がいるみたいで、
ボスも頭を悩ませてました。
お気をつけて」
オークの親切な忠告にチティルは翼を振って応える
「お~、そうだったんだね、ありがとう」
チティルの言葉にオークは頷く
オークは私の方にもちらっと視線を向けたが、すぐに視線を他所に移した
あまり興味がないのだと感じた
また歩き出し、数分経ったときにチティルが口を開く
「そろそろ薬屋だよ、あると良いんだけどね~」
その言葉の後に曲がり角を曲がると、木造で所々が蔦に覆われた
周囲と比較しても異様とも取れる建物が目の前に現れた
「ここだよ、じゃあ入ろうか」
チティルの言葉に頷き、建物の扉を開いた