第22-13話 安堵 その3
森から外へ出る
街道へは草原を挟んで少し距離がある
視界が一斉に広がり、遠くまで見渡せる
開放感のある光景、ようやく森を抜け出せたことで
俺は胸を撫で下ろした
草原から街道へ移動し、街道を北上すると
ぼんやりと見えていたマーテンの建物がはっきりと視界に映るようになった
「さあ、後一息だよ~」
チティルが明るく話す
彼女は俺達を励まそうとしている事が分かった
その直後
「あ、ちょっと、くすぐったい~」
チティルが声を出す
ルシュがチティルの翼を撫でている様だが、
どうにも弱い所を触っているらしい
「ちょっと、ダメだよルシュちゃん。
あははは…」
楽しそうな二人の様子をムーグはやれやれと言う表情で見ている
そんなこんなで何とか俺達はマーテンに戻る事が出来た
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「俺達は西支部の方へ依頼完了の報告へ行く。
ここでお別れだ」
マーテンの入り口でレゾルが話す
ルシュがチティルの背から降りる
疲労は結構取れた様で、足取りは安定している
「今日は本当にありがとう、本当に助かったよ」
俺は改めてレゾル達に礼を言う
「ありがとう」
ルシュも俺に続いて礼を言う
「今度からは仕事は良く選びな、
ま、せいぜい頑張るんだな」
ムーグの物言いには以前の俺ならカチンと来ていただろうが、
助けてもらった手前、そういう気にもならない
ルシュもこの言葉に不満そうな顔はしていない
レゾル達が背を向けて立ち去ろうとする
「も~、ムーグったら!
それじゃあね、ルシュちゃん、新人クン」
チティルが翼をパタパタと振って声を掛けてくる
…俺は新人クンなんだな
等と思いながら俺とルシュは彼らを見送った
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「無事だったんですね!
良かったー…」
モアさんが嬉しそうに話す
「あはは…何とか…」
俺はモアさんに依頼中の出来事についてかいつまんで話をした
「レゾルさん達に助けてもらったんですね。
そんなにボロボロになって…
もう、次からは安請け合いはしないで下さいね」
心配させてしまったモアさんには申し訳ない気持ちになる
そして、依頼された黄光石の入った袋を提出する
やや足りないと思っていたが
ムーグが渡してくれた黄光石が大きかったので
何とか依頼達成分になっていたようだ
「はい、依頼品の提出を確認しました。
報酬はこちらになります。
今日はゆっくり休んで下さいね」
俺達は報酬を受け取り、家路につく
モアさんの言う通り、今日はゆっくり休もう…