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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第22-12話 安堵 その2

森の中の小道を進む


先頭はレゾル

その次にムーグ

最後に俺とルシュをおぶったチティルになっている


シャグとガーエイをあっさり撃退したレゾル達に

守られる形で歩を進めているからか、

俺自身の心の中に安堵感が生まれていた


チティルの背に掴まっているルシュの様子も落ち着いている



「その、改めてありがとう。

レゾル、ムーグ、チティル。

あんた達のお陰で助かったよ…」



俺の言葉にレゾルは少しだけ俺に視線を向け

ムーグはフン、と鼻を鳴らす


チティルは俺の方向の向き、意外そうな口調で話しかけてくる

「あれ、アタシ達の名前知ってるの?」


その言葉にムーグが得意げな顔になる

「俺達も有名になったもんだな」


そこから少し間を置いた後

レゾルが俺達に話しかける

「ルーキー、お前たちの名前は?

お前たちが知ってくれているのに、こちらが知らないのもな」


今はレゾルは前方を向いている為、その表情を伺い知る事は出来ない


「俺はヨウヘイ、彼女の名前は」

俺はルシュの方向を見る


「ルシュ…」

ルシュは小さく答える


心なしかチティルがルシュに優しい表情を浮かべた様に見えた


「そうか、ヨウヘイ、ルシュ

一先ずマーテンに戻るまでは宜しくな」

レゾルの野太い声には安心感がある


「その名前、忘れられない様にせんぜい頑張るんだな。

俺達も木っ端の名前を憶えてられる程暇じゃないんでな」

ムーグが俺達の方を向き、ぶっきらぼうに話す



「正直、俺はあんた達が助けてくれるだけじゃなくてマーテンまで送ってくれるとは思ってなかった」

俺は率直な感想を述べる


その言葉にレゾルは背を向けたまま話す

「困った者が居たら助ける、それは冒険者としては当然の事だ」


「ここで見捨ててくたばられちゃ寝覚めが悪いぜ」

レゾルに続いてムーグが口を開く


「困ったら助け合いてっね~」

チティルが明るい口調で話をする

彼女がこのパーティーのムードメーカーなのだろうと思う



そこから暫く無言で進む


「ん、ルシュちゃん、どうしたの?」

チティルがルシュに話掛ける



「サラサラでふかふか~」

ルシュがチティルの翼を撫でている様だ

とても気持ちよさそうに見える


そんなルシュの様子を見てチティルが笑う


「ふふっ、気持ちいいでしょ~

翼の手入れはハーピィの女の嗜みよ。

マーテンでは行きつけのブラッシング店もあるからね」


気持ちよさそうにチティルの翼を堪能するルシュと

それを優しく見守るチティルの姿に安心感を覚える


----------------------------


不意に俺は違和感を覚える

今進んでいる方向は俺とルシュが来た川とは反対の方向だ


「レゾル、こっちの方向で大丈夫なのか?

俺達は川から来たんだが…」


俺の言葉にムーグがこちらを見る

「お前らあっち側から来てたのか、よくもまあここまで来たな」


「お前たちと出会った場所からだと、マーテン南の街道の方が近い」

レゾルは抑揚のない声で話す


「そうだったのか…」

川は森の東側…そこから森に入ったから

どうやら俺達は西に来過ぎていた様だ



少し唖然としていた所、ムーグが何かに気付いてしゃがみこむ


「おい、しんい…ヨウヘイ」

立ち上がったムーグが話しかける


俺がムーグの方向に向く

「ほらよっ」

何かを投げて来た


俺がそれをキャッチすると

「これは、黄光石…」


「必要分にはまだちょっと足りないんだろ?

取っとけ」


「いいのか?」

俺の返事にムーグはフン、と鼻を鳴らす


「お前らの依頼主も困ってるだろうしな、俺らにとっちゃ依頼の帰りついでだし、

これくらい構わねえよ」



「そういえば、あんた達は何の依頼でこんな場所に?」


黄光石の収集ではない事は分かるが、何の依頼だったのだろうか


「魔獣討伐の依頼を受けて来てたのよ」

チティルが質問に答えてくれる


「ラトルノって魔獣だ、大きな目玉で触手であちこち這いまわる気味の悪いヤツだ」

ムーグが話す


「本来はガリュエヌ山道付近に出る魔獣で、この辺りには出てこないんだがな。

街道付近で目撃情報があったから討伐依頼を引き受けていた」

レゾルが経緯を説明してくれる


「この森で出てくる魔獣より厄介なヤツでね~。

まあ無事討伐出来たから大丈夫」


そうこう話していると、視界の向こうが明るくなってきた


「そろそろ街道だな、マーテンまで後ひといきだ」

レゾルの言葉に俺達は歩を早めた

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