第22-11話 安堵
俺達の顔を覗き込んでくるハーピィのチティル
金のウェーブ掛かった髪が揺れる
こう改めてじっくり見ると綺麗な人(?)だなと思った
「あ、ああ…」
俺は何とか口を開くことが出来た
「その、ありがとう。
助かったよ…」
俺の返事を聞いてチティルが笑う
「おお、良かった~。
新人ちゃんも、ヘトヘトみたいだけど大丈夫そうだね」
チティルはルシュに目配せする
ルシュは疲労した様子ながらもチティルに向かって頷く
「こんな所で何してんだ?
駆けだしが来て良い場所じゃないぜ」
オークのムーグが口を開く
ミノタウロスのレゾルは黙って腕を組んでいる
「仕事の依頼で…」
俺は彼らに依頼を受けてやってきた事を話す
説明をして、少し間を置いてからムーグが口を開く
「はぁ~、幾ら何でも無茶だろそりゃ…。
俺達が来なけりゃお前らどうなってたか分からないんだぜ」
ムーグの呆れた口調に俺は閉口する
ルシュも黙って俯いている
「今回は運が良かったな、
これからは身の丈に合った依頼を受ける事だ」
黙っていたレゾルが口を開く
「じゃ、帰るか」
ムーグがそう話して背を向ける
「新人ちゃん、こっちおいで」
チティルがルシュに背を向け、少し屈む
「?」
ルシュが不思議そうに首を傾げる
「背負ったげる、疲れてるでしょ?」
チティルはルシュに向けて優しく話しかける
その言葉を受けてルシュが俺の顔を見る
どうしよう、と言った問いかけに思える
俺は黙って頷く
俺の反応を見て、ルシュはチティルの背に覆いかぶさる
「しっかり掴まっててね~」
そう言ってチティルは浮かび上がる
「お~…」
ルシュが感嘆の声を出す
背負ってても飛べるのか…
俺は何となくハーピィは何かを乗せて飛ぶことは出来ないと思っていたので少し驚く
「どうした?
お前も疲れて歩けないなら手を貸してやるぞ」
ムーグの言葉に我に返る
「いや、大丈夫だ…」
疲れているが、歩くことは出来る
俺は地面に置いていた荷物を持つ
「それじゃあ、マーテンに戻るぞ」
レゾルを先頭に、俺達はマーテンに向かっての帰路についた