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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第22-8話 疲労困憊

ルシュから受け取った傷薬を飲み終わり、

暫くすると痛みが引いてきた


痛みのあった箇所を見ると、服にも穴が開いている

今着ている冒険者用の服は頑丈なのに…

思った以上に強烈な攻撃だった様だ



ルシュの右腕に付いている粘液糸を剥がし、俺は立ち上がった

痛みは、問題ないレベルになっている


「ルシュ、大丈夫か?」

大丈夫ではない事は分かっているのに聞いてしまう

俺の言葉にルシュは力なく頷く



周囲の様子を確認するが、

森の中は虫と鳥の鳴き声が響き渡るだけで、

静けさを取り戻している



俺は目の前で動きを止めたガーエイに近付く

「ヨウヘイ?」

ルシュが疑問を投げかけてくる


俺はルシュに向かって大丈夫と頷き、

ナイフを使ってそれを採取する


ガーエイの目、弱点でもあるその部位は

薬の材料になるらしい


かさばらないし、それなりに高く買い取ってくれるものだ

持って帰っても良いだろう


俺は革袋にガーエイの目を入れ、ルシュの元に戻る

ルシュは依然座り込んだままで、俺を見上げる


「シャグの…殻は…どうしよう…?」

シャグの殻は武具や装飾品に加工が行えるので

これも高く買い取ってくれるものだが、如何せん大きい


しかも重い


この状態のルシュに持たせる訳にはいかないし、

俺ではそれを抱えてこの森から出るのは難しいだろう


「シャグはやめておこう。

それより、ここにいつまでもいるのは危ない。

安全な場所を探そう」


俺はルシュに手を差し出し、ルシュは俺の手を握る

冷たい、と感じた

激しく動いたのだからもっと熱を持っていても良いと思ったが、

種族の違いだろうか


俺はルシュの手を引き上げ、ルシュが立ち上がる


本当は疲れ切っている彼女を歩かせたくはないが、こればかりは仕方がない


「俺に掴まってくれ」

ルシュは俺の腰に腕を回し、

こちらに体重を掛けてきている事が分かる

俺はルシュの背中に腕を回して支える


「…ありがとう…」

ルシュの言葉に俺は笑って頷く

俺の顔を見てルシュの表情に安堵が戻る


「じゃあ、行こうか」

俺とルシュは慎重に森の中を進んだ




……俺達はこれまで来た道を戻りながら、道の脇に注意しながら歩いた


魔獣が居ないかどうか、と言う問題もあったが

何よりも安全そうな場所が無いかに注意していたのだ


小さな洞穴などがあると良かったのだが、これまでの道中で大きな岩肌は見つかっていないので

それを望むのは難しいだろう



これまで来た道を戻っているのは、既にこの依頼をこれ以上続けるのは難しいと判断したからだ


俺自身は傷を負い、ルシュは疲労困憊

ガーエイやシャグ等が現れた時に対応するのはとても厳しい


黄光石はある程度見つかっている

依頼された量には満たないが…命には代えられない


「ハァ…ハァ…」

小さな吐息が聞こえる

ルシュは息を切らしながらも歩いてくれている



俺は出来るだけゆっくり、無駄な距離を歩かない様にルシュを支えながら歩く



ガーエイとの戦いで叩き落されたクラブはその場に置いてきた

今の体勢、疲労具合でクラブを持って歩くには俺は非力過ぎた



暫く歩き続けると、大きな木が視界に入る

ここに来るまでの間では特に気に留める事も無かったのだが

良く見てみると、根本が開き、空洞になっている


空洞の中には何もいない、安全そうだ



「この中なら、ある程度は大丈夫だろう。

ここで休憩しよう」


俺の言葉にルシュは頷く

俺達は木の根元の空洞に入り込み、木の幹にもたれかからせるように

慎重にルシュを座らせる



ここからなら注意を払うのは一か所、正面だけで良い

俺はルシュの隣に座った

ようやく一息つけそうだ…

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