第22-7話 魔獣との対決 その3
ガーエイの動きが緩慢になり、やがて止まったのを見届ける
「倒した…!」
倒せた事への安堵感が押し寄せてくる
ルシュがシャグと戦っているが、心配しなくても良い筈だ
でも万が一の事もある、手助けに行かないと
そう思い振り向こうとすると、痛みがわき腹を襲う
「ぐぅ!」
立ち上がろうとしたが、それを断念する
気が緩んだからか、痛みがさっきより増している気がする
まず傷薬を飲んでからか…
そう思った時に後ろから声が聞こえる
「ヨウヘイ…!」
ルシュの声だ、痛みが強くならないようにゆっくり振り向く
ルシュがこちらに向かってきている
こちらに来ていると言う事はシャグは倒せた様だ
右腕には白い何かと茶色い何かが付いている
シャグの粘液糸だろうか
しかしそれ以上に気になる点がある
ルシュの足取りがおぼつかない
重い足取りだ
「ルシュ…?」
ルシュはふらふらと俺の元まで辿り着き、座り込んだ
「ハァ…ハァ…ヨウヘイ…大丈夫?」
ルシュが心配してくれるが、彼女の方が大丈夫では無さそうに見える
「俺は…いてて、大丈夫。
ルシュこそ…」
ルシュは大きく肩を上下させ、呼吸を整えようとしている
それで察する事が出来た
酷く疲労している
マーテンを出てからここまで、数時間歩きどおしで、
途中でガワと戦い、慣れないけもの道を進んできた
俺が気を付けていれば途中で気付けた事だった
「ルシュ…ごめんな」
自然と謝罪の言葉を述べる
ルシュは何も言わずに俺に付いてきてくれたのに
俺の言葉にルシュは不思議そうな顔をする
「…どうしたの、ヨウヘイ?
私は、大丈夫、だから…
ヨウヘイは傷薬、飲んで」
ルシュが俺に傷薬を差し出してくれる
「ありがとう」
俺はルシュから傷薬を受け取り飲み干す
普段なら顔を歪める苦みも、この時は有り難く感じた