第20話 マーテンでの休日
ある日の朝、俺は目覚める
俺は上半身を起こし、辺りを見渡す
俺の居る木造の部屋の窓からは朝日が差し込み、
朝日に照らされたチリがキラキラと光っている
とても爽やかな朝だ
俺は両腕を上にあげ、体を伸ばす
「ん~…良く寝た」
この日は仕事をしない日と決めている、要するに俺達にとっての休日である
横にあるルシュのベッドを見ると、そこにルシュの姿は無い
俺より早く起きている様だ
俺はベッドから降り、顔を洗う為に外に出る
「おはよう、ヨウヘイ」
外に出た俺の左手にルシュが居た
「おはよう、ルシュ」
先日の内に汲んでおいた水を両手ですくい、顔を洗う
冷たい水に一気に目が覚める
軽く顔をはたき水を落とす
「ルシュは起きるの早いな」
俺はルシュの方向を見る
ルシュは上半身には俺のトレーナーを着て
下半身にはスカートを履いている
「うん、今日が楽しみだったから」
ルシュは庭先に設置したベンチに座って足をパタパタさせている
ルシュが俺のトレーナーを着ている事には理由がある
こちらに持ってきたトレーナーにルシュが興味を示した事があり、
貸した事があった
その時にルシュがトレーナーをいたく気に入り、
ルシュがここまで喜んでくれるならと言う事で、俺はルシュにトレーナーを譲ったのだ
流石にチノパンやスニーカーは彼女とサイズが合わないので、譲ったのはトレーナーだけになる
それ以来ルシュは家にいる時はトレーナーを好んで着ている
「ヨウヘイ、今日は私、街をゆっくり周ってみたい」
ルシュが自分から提案する事は珍しい気がする
この休みを楽しみにしていたのだ、彼女の頼みを断る理由は俺には無かった
「そうしようか、朝食をとったら行こうか」
俺の発言にルシュが嬉しそうに頷いた