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「おいおいおい。おいってばおい。ややこしいのって、まさかこの俺のことじゃないだろうな」
声がした方向を見ると、男が立っていた。
けっして背が高いとはいえない飛燕や紫苑と比べると高身長だ。
190センチはゆうにあるだろう。
それに黒をベースにした革ジャンに皮のズボン。
それらにはこれでもかと銀色ににぶく光る金属製のなにかがやたらと生えていた。
前髪の一部が直立しており、真っ赤に染められている。
それ以外は金髪というか黄色というか、そんな色だった。
パンクロッカーとビジュアル系を足してさらに何かをかけたような格好である。
野生的な顔はかなりの二枚目であるが、その表情は威圧的かつ攻撃的で、ちょっと怖い。
手には金属製の棒を持ち、その先端はハンマーのような状態になっていた。
いわゆるウォーハンマー、戦鎚という打撃系の武器である。
「あら、魁斗。遅かったわね」
「おう、待たせたな。この俺が来たからには、もう怖いものなしだぜ」
どうやらこの男はかいと、と言う名前のようだ。
「はいはいはい。せいぜい頼りにしてるわよ」
魁斗は清武を見た。
「で、このあんちゃん、いったい誰だ?」
「それは飛燕に聞いてよね」