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朝に村を出て、結界の外にはすぐに出たのに、清武が家についたときにはもう日付が変わっていた。
――大変な目にあったな。
なんといっても数日間会社を無断欠勤している。
それが一番の問題だろう。
――明日は土下座でもするか。
清武はとりあえず寝ることにした。
翌日、清武はあちこちいろんな人に謝りたおし、なんとか首だけはまぬがれた。
当然、山ほどのお叱りを受けたが。
――とりあえず、これで一安心か。
もう平凡で退屈な日常に戻るのだろう。
清武はそれでいいと思っていた。
あれから数ヶ月が過ぎた。
清武はここのところ休んでいた自然観察、バードウォッチングに行こうと決めていた。
あんなことがあったためなのかどうかは清武自身がよくわかっていないが、なんとなく足が遠のいていたのだ。
日曜日、清武はあまり行ったことのない山に登り、バードウォッチングを楽しんだ。
――うん。やはりこれが一番だな。
そして、さらに山に分け入ると、ないか、いや誰かがいた。
――えっ?
なんとその人物は、飛燕その人だった。
飛燕は清武が見ている前で、その姿を消した。
――と、いうことは?
清武は気を失った。




