5
「申し遅れました。私の名前は飛燕と申します。見ての通り、陰陽師をやっております」
――陰陽師みたいなやつだと思っていたが、本当に陰陽師だったのか……。
「ところであなたのお名前は?」
「えっ、あっ、私は清武と言います」
「清武さんですか。いろいろご迷惑をおかけしました。とりあえずこの結界を出るまでは、私があなたをお守りいたしますので」
「守る、ですか」
「ええそうです。こんなやつがうろうろしていますからね、ここには」
そう言った後、飛燕は一点を見つめた。
清武が見るとそこには、先ほどと同じ化け物が何匹もいて、じっとこちらを見ていた。
「八、いや九匹ですか。もし一度に飛びかかられたら、ちょっときつかもしれませんねえ。清武さん、とりあえず下がっていてください」
清武は何も言わずに下がった。
すると化け物が示し合わせたこのように、一斉に向かってきた。
「えい!」
飛燕は一番近くまで来た化け物に槍を突き刺した。
そして素早く抜くと、次の化け物に槍を突きたてた。
その飛燕の後方から、三匹の化け物が同時に襲いかかった。
――危ない!
飛燕は三匹の攻撃を信じられない速さで移動してかわすと、近くにいた一匹に槍を突き刺した。
しかしかわしたばかりの二匹が、すばやく後ろにまわっていた。
その二匹は同時に飛燕に襲いかかった。