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濃い赤の皮膚で、その身長は2メートルを少し超えるくらいか。
顔も人に近いが、違いは大きな口の両端に二本の牙が生えていること。
そして頭にも二本の角が生えていた。
まさに鬼そのものだ。
その手にはご丁寧にも、とげとげの付いた金棒が握られている。
「やはりいたわね」
「夜にしか出てこないと聞いていたが、ちょうどいい時間帯だったようだな」
「飛燕、あいつとやりあったら、どうなると思う」
「結果はともかく、勝負はそんなに長引かないだろうね。そんな気がする」
清武が飛燕を見ていると、飛燕が気づいて言った。
「私のこういうカンは、けっこう当たるんですよ。でも結果はわからないので、あまり役にはたたないですけどね」
「早く終わるに越したことはないぜ。もちろん俺たちが勝って終わるんだけどな」
鬼哭が動いた。
ゆっくりと三人に近づき、止まった。
そして空を見あげると、大きく口を開けた。
「うおおおおおおんん」
「えっ?」
「あいつ、泣いてるんじゃないの」
「確かに泣いているように聞こえるが」
「うおおおおおおんん」




