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あたりが完全に暗くなった頃に、集落に着いた。
時代劇に出てくる農村そのままの光景だった。
あちこちの家から灯りが漏れてくるが、灯りの位置がやけに低い。
囲炉裏かなにかの灯りなのだろう。
当然電気は来ていないので、上からの証明で家を照らすということはないようだ。
「辛気臭いところに出たぜ」
「ほんと、さっさと帰りたいわ、こんなところ」
「まあ、長居は無用だな」
よく見れば、住人が窓からこちらをうかがっている。
あちこちのガラスのない窓に、顔だけが突き出したかのようにあるのだ。
「みんな見てるぜ」
「そりゃそうよ。お客様なんて珍しいでしょうし。ましてやあたいたち、村人が崇める化け物をなぎ倒してここまで来たんだから。歓迎されるわけがないじゃないの」
「どうでもいいけど。あれが目的地じゃないのか」
飛燕が指差す方向に、それはあった。
見た目は大きな鳥居。
広場のようなところの真ん中に建っている。
ただ通常の鳥居と違うのは、その色が真っ黒ということだ。
そしてその鳥居の上に、なにかがいた。
そいつは最初鳥居の上に立っていたが、軽くジャンプすると、地面にすとんと着地した。
人型だが、筋肉の量がやけに多い。




