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昔の着物を着た、おかっぱ頭の六歳くらいの少女が一人立っていた。
――村の子供?
清武はそう思ったが、三人の反応は違っていた。
「こいつか」
「一見、人間の子供に見えるが、明らかに人間ではないな」
「気をつけてよ。こいつ、強いわ」
「そう。本気でかからないと、私たちは死ぬことになるぞ」
「わかってるぜ」
三人が武器を構えると、少女が解け始めた。
その表現しか、清武は思いつかなかった。
やがて少女の姿は消え、赤黒い肉の塊が地にへばりついているのみとなった。
「あれ、なんだぜ」
「とにかく油断は禁物よ」
「なにか仕掛けてくるはずだ」
見ていると、その肉の塊が、べりっ、という耳障りな音とともに三つに分かれた。
そしてその一つ一つが、むくむくと膨れあがってゆく。
主に縦に伸びてゆき、やがてその三つはある形を成した。
一つは魁斗。もう一つは紫苑。
そして最後のひとつは飛燕。
醜い肉の塊は、三人とそっくりな姿となったのだ。




