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「で、聞きにくいことを聞くんですが、いいでしょうか」
「いいですよ。なんなりと」
「さきほどスライムを倒しましたが、そこそこ苦労しましたよね。それで……」
「それで?」
「ラスボスの前のやつはスライムよりも強いんでしょう。そしてラスボスはそれよりも強い。それで……」
「それで?」
「大丈夫なんですか?」
「相手の能力や戦闘力は“目”でもわかりません。ですからそれについての答えは一つです」
「なんですか」
「戦ってみなければわからないと言うことです」
「そうですか……」
魁斗が言った。
「やる前から負けることを考えるなんて、阿呆のやることだぜ。俺なんか勝つことしか考えたことがないぜ」
「そりゃああんたは、そうでしょうよ」
「それにしても“目”のやつ。なんでリーダーである俺じゃなくて、飛燕に報告を入れるんだ。どう考えてもおかしいだろうが」
「どう考えても、おかしくないわよ。あたいが“目”でも迷わず同じことをするわ。三人の中ではあたいが一番若くて経験も浅いわ。だからあたいが外されるのは、無理ないわね。そうすると飛燕かあんたの二択になるけど、それなら消去法で一発よ。馬鹿は論外だから、飛燕しかいないわね」
「そうそう。馬鹿は論外だから……って、誰が馬鹿だってか」
「あっ?」
「あん?」
「二人ともやめないか。ほら、神社が見えてきたぞ」
飛燕の言うとおり、木々の先に神社があった。




