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三人のように戦闘行為はしていないが、それでも疲れているのだ。
いきなりこんな世界に連れてこられて、見の縮むおもいの連続なのだ。
それで疲れないとしたら、そっちのほうがどうかしている。
「うーん」
声がした方を見ると、魁斗がゆっくりと起き上がろうとしているところだった。
続いて紫苑と飛燕が起き上がる。
申し合わせたように、三人が同時に目を覚ました。
それも清武が目を覚ました直後に。
「ふう。気は完全に戻ったようだぜ」
「そのようね」
「それじゃあいきますか」
三人は起きたばかりとは思えない速さで、すたすたと歩き出した。
清武は慌ててついて行った。
広場を抜けて森の中を歩いていると、魁斗が飛燕に言った。
「三面中ボスまでやっつけたぜ。あとはもうそれほど残っていないんだろう」
「ああ。“目”からの報告によると、あとはラスボス前の最後の敵が一つ、そしてラスボスの鬼哭。それだけだ」
清武が口をはさんだ。
「その“目”って、なんですか?」
「“目”は俺たちの仲間で、いわゆる千里眼のような能力を持っている人ですよ。その人がここを見て、私に報告したのですよ」
「それで敵の数がわかるんですか」
「ええ。強い敵ほどよく見えるそうですから、敵はあと二つで間違いないでしょう。敵の能力まで見ることが出来ないのが残念ですが」
「それでさっき言っていた、鬼哭とは、なんですか?」
「ここのラスボスの名前ですよ。あいつだけは名前がわかっている。と言うよりも、あいつだけが名前をつけてもらっている、と言ったほうがいいでしょう。ここの住人によってね」




