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薄い緑色のものが草の中に埋もれている。
――なんだ?
清武が見ていると、それが見る見るうちに大きくなった。
そして魁斗よりもはるかに高くなったところで、肥大化が止まった。
半球状のその物体は、まるで心臓の鼓動のように一瞬少し大きくなると、再び一瞬で元の大きさに戻った。
それを繰り返している。
「なんだい、あれは」
「なにかしらねえ」
「私もよくわからん」
半透明にちかいそれは、ゼリーのようなものに見えた。
よく目をこらして見ると、薄い緑色の中で、ウイルスのような形をした濃い緑色のものが、大量にうごめいている。
――なんなんだ、あれは?
清武が考えているとそいつが動いた。
そして三人の目の前で止まった。
「とう!」




