31/53
31
それを紫苑が再び投げた。
それは別のサラマンダーの首の辺りを貫いた。
こうして数十匹はいたであろうサラマンダーが次々と戦闘不能におちいり、やがて動いているものは一匹もいなくなった。
あれほど燃え盛っていた火も消えている、紫苑が地面に降りた。
「片付いたね」
「そのようだぜ」
「思ったよりも簡単だったな」
「ああ、期待して損したぜ」
――いったいこの男は、なにを期待しているんだか。
そう考えながら、清武も木から降りた。
「それじゃあいくぜ」
「行きますか」
「あたいが号令かけるつもりだったのに、なに勝手にかけてんのよ」
三人は慣れた道を歩いているかのように、進みだした。清武が慌ててついて行った。
どれくらい歩いたのだろうか。
急に草の生えた広場のようなところに出た。
「ありゃ」
「これは……」
「なんだかとっても怪しいわね」
みなで広場をながめていると、その中央付近に何かが現れた。




