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――大丈夫かな?
そう考えていると、三人が同時に木に登り始めた。
それは木登りに自信がある清武よりも、数段速かった。
とても人間が木に登っているとは思えない動きだ。
三人は適当な枝に腰をおろした。
「ふう。あいつら、木には登れないようだな」
「そうみたいね。で、これからどうするの」
「そんなの決まってるじゃねえか」
魁斗が戦鎚の柄を持つと、それを左右に引いた。
そしてもう一度引くと、戦鎚の柄はかなり長くなっていた。
「ちょっくら行ってくるぜ」
そう言うと木から木へと巨体に似合わない動きで、次々と飛び移った。
まるで猿のようだ。
そして地面に降りた。
そこはサラマンダーが密集している場所よりも、外側だった。
「こっちだ、トカゲども」
声に反応して、サラマンダーが向きを変え、魁斗めがけて進んでゆく。
魁斗はやたら長くなった戦鎚を振り上げ、叩きおろした。
その一撃は先頭のサラマンダーの脳天を直撃した。
「それ、もういっちょう」




