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「なにがですか?」
その答えで充分だった。
あの二人があまりにもいつもどおりなので、飛燕には清武の質問の意味がわからなかったのだ。
その後、特に会話もなくぼんやりとすごしていると、二人が同時に帰ってきた。
別々の方向からそろって現れるとは、やはり気があっているということか。
三人で見張り兼火の番についての話し合いが行なわれ、最初は飛燕が務めることになった。
九時きっかりに魁斗が言った。
「よーし、良い子は寝る時間だぞ、皆の衆。寝るべ、寝るべ」
「魁斗、話があるわ」
「なんだよ」
「襲わないでよね」
「金もらっても、誰がおまえなんか襲うかよ」
そう言った後、魁斗と紫苑は横になり、気づけば二人ともすでに寝息をたてていた。
――まったく、面白い連中だ。
そういう清武も、いつしか眠りについた。
「朝だ、あーさーだー。起きろーーっ」
ばかでかい声で起こされた。魁斗の声だ。
周りを見れば、いまは真夏なのにまだ暗い。
「ちょっと。早起きったって、いくらなんでも早すぎるんじゃないの。まだ四時よ」
「九時に寝たから、四時なら七時間寝たことになるぜ。充分だろう」
「途中、二時間以上見張りをしてたわよ」
「そんな小さなことを気にしていたら、大物になれないぜ」
「そんな大事なことを気にしないようなバカには、なりたくないわ」
「なんだと、この。この俺がバカだって言いたいのか」
「そうよ。どこから見ても、バカそのものじゃないの」




