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「末永くお幸せに」
そう言うと二人は、あっと言う間に森の中に消えた。
飛燕は清武からそれほど離れないようにしながら、枯葉と小枝を集めだした。
そのうちに、それはけっこうな量となった。
次にソフトボールくらいの石を四つ置き、どこから取り出したのかわからない鉄の輪をその上に置いた。
「うん、安定しているな」
飛燕は輪が石から落ちないことを確認すると、四つの石の真ん中に枯葉をしきつめ、その上に小枝をいくつものせた。
そしてこれまたどこから取り出したのかわからないが、フライパンとも薄い鍋とも判別のつかないものを、鉄の輪の上に置いた。
ここにきて清武にも、ようやくそれがなんであるかがわかった。
簡単なかまどである。
枯葉を燃やせば火が小枝に移り、上の鍋みたいなものを暖めるのだ。
「あとは待つだけですよ」
二人は狩りと言っていたから、なんだかの野生動物を狩ってくるのだろう。
そのまま待っていると、紫苑が先に帰ってきた。
「はーい、おまた」
紫苑は兎と雉を手にしていた。
雉はすでに首がなかった。
「御頭つきで持ってくるつもりだったんだけど、手で捕まえようとしたらこいつが飛び立とうとしたから、思わずナイフ振り回しちゃって。そうしたら首がどっかに飛んでいっちゃった。てへ」
清武は、この内容の話の最後に「てへ」なんて言葉がつくとは、まるで想像していなかった。




