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続いて紫苑が二本のナイフを、魁斗が戦鎚を投げた。
槍と二本のナイフは矢のように飛んでゆき、そのまま化け物の胸に深々と突き刺さり、戦鎚は回転しながら飛ぶと、ピンポイントでその額を打ち抜いた。
化け物は後方に倒れたが背中が木にあたり、そのまま横にずるずると倒れて動かなくなった。
「おいおいおい、ただ的がでかくなっただけじゃねえかよ。期待させといて、裏切られたぜ」
「数は少なくなるし、的が大きくなるし。倒しやすいようにわざわざ気を使ったとしか思えないわね」
「とにかくここの中ボスは倒したな」
「おう。これで第二ステージ、クリアーだぜ」
清武はこの三人、特に魁斗と紫苑はこの戦いをロールプレイングゲームかなにかと思っているのではと疑っていたが、その疑いは消えた。
確信に変わったからだ。
三人は歩き出し、清武はそれについて行くしかなかった。
しばらく歩いていると、先頭を歩いていた魁斗が突然立ち止まった。
ちょっと前まで紫苑と二人で「俺が先頭だ」「あたいが先よ」と争っていたのだが、魁斗が強引に一番前になっていたのだ。
もちろん飛燕はこの張り合いには加わらなかった。
どちらが前になったとしても、はなから三番目でいるつもりなのだから。
魁斗が振り返って言った。
「腹減った」
「そうなると狩りしかないわね」
「そんじゃあ行くか。飛燕は残るんだろ」
「私は清武さんのそばにいるよ」
「わかった。お守りはまかせたぜ。それじゃあ俺たち二人で、ちょっくら行ってくるぜ」




