11/53
11
馬鹿でかい鳥。
ダチョウなんか比べ物にならないほどに大きなその鳥は、頭部だけが人間の女性のものだった。
――ハーピー?
清武はギリシャ神話に出てくるハーピーを連想した。
魁斗が一歩前に出た。
「おれはまだお仕事してないからな。こいつは俺がやる。二人はそこでおとなしく見物していろ」
「あんた一人で大丈夫なの」
「大丈夫だぜ。リーダーの言うことはおとなしく聞いとくもんだぜ」
「あんたがいつリーダーになったのよ」
「たった今だ」
魁斗が怪物にむかって行く。
するとそいつが大きな羽をはばたかせ、宙に舞い上がった。
「あれっ。これじゃあ攻撃がとどかないぜ。まあいい。そのうち降りてくるだろうぜ」
降りてきた。魁斗を攻撃するために。
魁斗は腰を落として身構えると、化け物にむかってジャンプした。
――えっ?
魁斗はオリンピック選手でも到底不可能な高さまで飛ぶと。そのまま手にした戦鎚を振り回した。
戦鎚の先端にあるハンマーの部分が、怪物の頭をとらえた。
「ぎゃっぎゃっぎゃっ」
怪物は清武がこれまで一度も聞いたことがないような悲鳴を上げると、失速して地面に落ちてきた。




