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魁斗が飛燕を見ると、飛燕が言った。
「申し訳ない」
「おい、飛燕。まさかこのあんちゃんが近くにいたのに、飛んだんじゃないだろうな」
「残念ながら、その通りだ」
「まったく。で、このあんちゃんどうすんだよ」
「この件が終わるまで、この人は私が守る」
「そうしてくれると助かるぜ。小市民を守るのが役目なのに、小市民を見殺しにするわけにもいかないからな」
小市民とは、言うまでもなく清武のことだろう。
清武は苦笑いをした。
魁斗が転がっている化け物を見て言った。
「どうやら一仕事終わったようだな」
「ええ、このあたいがみんなやっつけたわ」
「いや、みんなじゃないだろう」
「そういえば飛燕も一匹くらいはやっつけたかもね」
「もうどうでもいいよ」
清武は三人をじっくりながめた。
一人一人でも感じていたが、三人そろうとよけいにアニメイベントに来たコスプレイヤーにしか見えなかった。
魁斗が言った。
「おっと、話はここまでだ。雑魚キャラがみんなやられたから、最初の中ボスがご登場だぜ」
見ればなにかいた。




